(※写真はイメージです/PIXTA)
「会社の経費扱い」ができなくなって…
トモカズさんにとって、ゴルフは仕事そのものでした。現役時代、得意先との接待ゴルフにかかるプレー代、往復の交通費、その後の会食費はすべて「接待交際費」として会社が負担。トモカズさん本人が支払うのは、個人の練習場代程度でした。
変化が訪れたのは、定年が近づき役職を外れた時期です。担当していた得意先を後輩に引き継いだことで、ゴルフの誘いは「仕事」から「個人的な付き合い」へと性質を変えました。当然、会社から経費は出なくなりましたが、トモカズさんは誘いを断ることができませんでした。
彼にとっては、「部長、久しぶりにやりましょう」という元部下や、かつての取引先からの連絡が、まだ現役として認められている証だったからです。
月12万円の「現役感」への維持費
妻のモモコさん(仮名)は、トモカズさんが定年後も頻繁にゴルフへ出かけることに眉をひそめていました。「もう役職もないんだし、少し回数を減らしたら?」と何度も釘を刺してきましたが、トモカズさんは聞く耳を持ちません。
トモカズさんが年金や貯蓄から家計に入れていた月々の生活費とは別に、個人の預金から支出していたゴルフ関連費用の実態は以下のとおりです。
1回のプレー代(土日中心): 約1万2,000円
交通費(高速代・ガソリン代): 約1万2,000円
プレー後の会食・反省会: 約1万5,000円
これらを月に2〜3回繰り返し、さらに平日の練習場代月額2万円を加えると、月々のゴルフ関連出費は平均12万円に達していました。
誘いを断れば、もう声はかからない。12万円は、退職してからゴルフ以外にやることがないトモカズさんにとって「自分はまだ必要とされている」という実感を繋ぎ止めるための、切実な維持費だったのです。