(※写真はイメージです/PIXTA)
加齢とともに上昇する孤独感…30代が直面する地域社会との断絶
佐々木さんのような状況は、統計的にも裏付けられています。こども家庭庁が公表した『こども・若者総合調査(令和7年度)』の結果からは、30代の若者が抱える孤立の実態が明確になっています。
本調査では、客観的な孤独感を測定する「UCLA孤独感尺度」を用いています。「自分には人とのつきあいがない」「自分は取り残されている」といった項目をスコア化した結果、全体の半数を超える若者が日常的な孤独に直面していることが分かりました。
スコアが「時々ある」に該当する割合は41.1%、「常にある」は11.5%に達します。一方で、「決してない」と回答した割合は14.5%にとどまっており、孤独感は特定の層だけでなく、広範な社会事象として定着しています。
孤独感の平均スコアは年齢層によって異なり、15歳~19歳では6.5点ですが、35歳~39歳では7.1点へと上昇します。この要因の一つとして、地域社会との結びつきの欠如が挙げられます。
自分の住む地域を「居場所」として認識しているかという問いに対し、30代の約37%が「そう思わない」と回答しています。学生時代のコミュニティが消失した後、職場以外の社会的な接点を構築できていない現状が浮き彫りになりました。いわゆる「サードプレイス」の欠如が、30代の孤立を加速させる要因となっています。
孤立を補完する手段として期待されるインターネット空間も、実際には深い人間関係の構築には至っていません。
「ネット上の人やグループ」を居場所と感じる割合は、15歳~19歳の71.3%に対し、35歳~39歳では50.6%に低下します。
さらに、ネット上の知人に対して「悩みを相談できる人がいる」割合は15.0%、「困ったときは助けてくれる」割合は16.5%にとどまります。オンライン上のやり取りは日常的な会話には機能していますが、本音の相談や相互扶助が行われる「質の高い繋がり」には発展しにくいのが現状です。通信技術による接点の増加は、孤独感の解消には直接結びついていません。
これまでの資産形成の議論は金銭面に集中してきましたが、本調査結果は「社会的資本(人間関係のネットワーク)」の重要性を示唆しています。
職場や家庭だけに依存した人間関係は、環境の変化によって容易に喪失します。利害関係のない他者とのつながりを維持することは、精神的な安定だけでなく、有事の際のセーフティネットとして機能します。金銭的な備えと同時に、地域や外部コミュニティとのネットワークをいかに維持するかが、現代のライフプランニングにおける重要な課題となっています。
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