内閣府の調査によれば、子と同居する高齢者の約半数が「子や孫の生活費を負担している」という実態が明らかになっています。高齢になっても自立しない子と一つ屋根の下に暮らし、会話もないまま将来の不安だけが募っていく毎日。実家にお金も入れず、自室に引きこもる32歳の息子に対して、つい世話を焼き続けてしまう70代母親の事例を紹介します。ある日、息子が突然とった“不気味な行動”が、夫婦に突きつけた切実な「老後の恐怖」とは。
「介護が必要になっても助けてくれない…?」年金月22万円・70代夫婦、実家暮らしの32歳息子が〈子供部屋にカギを設置した日〉に感じた“老後不安” (※写真はイメージです/PIXTA)

「子供部屋」に突然カギをつけ、拒絶の姿勢にショック

すると数日後、ヨシコさんは“まさかの光景”を目の当たりにします。アツシさんが自分の部屋の扉に、外から開けられないように新しくカギを取りつけていたのです。親からの干渉を物理的に拒絶するようなアツシさんの行動に、ヨシコさんはショックを受けました。

 

「そこまで親に干渉されるのが嫌なら、一人暮らしをすればいいじゃない」と、たまらずヨシコさんはそう伝えましたが、アツシさんは無言を貫くばかりでした。

 

そんなアツシさんの態度に腹が立ち、いっそのことご飯を作ったり、洗濯物を洗ったりするのをやめてしまおうかと何度も考えたそうです。しかし、一緒に住んでいる夫の身の回りの世話はしているのに、息子だけ放置するというのも気が引けてしまい、結局は今日もアツシさんの洗濯物を畳んで部屋の前に置いてしまいます。

 

「何考えてるのかわからなくて、正直ちょっと不気味です。でも、なんだかんだで自分の子だから見捨てられないんです。親の甘やかしなんでしょうね」

 

注意をしても言葉が返ってこないため、きちんとした話し合いすら成立しません。ヨシコさん夫婦は、今のところ元気に生活できていますが、いずれ体が動かなくなり介護が必要になったとき、同じ家に住むアツシさんは自分たちを助けてくれるのだろうか。ヨシコさんはカギの閉まったアツシさんの部屋の扉を見つめ、そんな不安を抱えながら過ごしています。

 

[参考資料]

内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」

内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)」