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「孫の笑顔が怖かった」GWの悲劇
関西に住む吉田浩一さん(72歳・仮名)は、昨年のゴールデンウィーク(GW)に経験した出来事を、今も苦い思いで振り返ります。吉田さんは現在、妻・恵子さん(69歳・仮名)と二人暮らしです。現役時代は地元の建設会社に勤務し、現在は月額約18万円の厚生年金を受給して生活しています。
「日々の暮らしに困ることはありませんが、余裕があるわけでもありません。今後の生活を考えると、貯金はできるだけ手を付けずにおきたい」
そんな吉田さんが思い出すのは、昨年のGW。関東で暮らす長男(41歳・仮名)一家(小学生1人、幼稚園生2人、計5人家族)が帰省したときのことです。さらに遡ること、同年3月。長男から「今年のGW、有給も取れそうだから、みんなで帰省しようかと考えている」と電話がありました。
吉田さんが孫たちに「どこか行きたいところはある?」と尋ねたところ、即座にあがったのが人気テーマパークの名前。長男の妻(38歳)から「休日はチケット代も高いし、混んでいるから」と諭す声が聞こえてきたものの、電話の向こうでは「行きたい!」という大合唱が繰り広げられました。そこで吉田さんは「たまのことだから心配しないで。任せておけ」と請け負ったのです。
「調べてみると、確かに休日は混んでいて、人気のアトラクションは3~4時間待ちが当たり前。安請け合いを後悔しましたが、待ち時間を大幅に短縮できる優先パスがあることを知りました」
「任せておけ」と言った手前、とにかく孫たちには格好いい姿を見せたい。喜ぶ顔が見たい――その一心だったと語ります。
そして迎えた当日。人気アトラクションの前には長蛇の列ができ、乗車まで3時間待ちという表示が並ぶなか、吉田さんたちは「さあ、我々はこっちだ」と優先レーンを進み、アトラクションを満喫しました。休日のテーマパークでは覚悟しなければならない順番待ちのストレスは一切なし。まさにストレスフリーな時間を過ごせたといいます。
「孫の笑顔が見られて、本当によかった。ただ、代償も大きかった。大人4人、子ども3人の優先パスを含むチケット代だけで15万円。昼食代やお土産代も入れると、私の1ヶ月分の年金(18万円)を超えてしまいました。さらに滞在中の出費は基本的に私たちが持ち、帰る日には孫たちにお小遣いも渡して……。結局、2ヵ月分の年金が飛びました」
「すべては孫にいい顔をしたかった私の責任ですが……もう二度と、あのテーマパークには行きません」と苦笑いする吉田さん。今年のGWはカレンダーの並びが悪いばかりか、長男の有給も取れなかったため帰省はなし。吉田さんは今、心の底からホッとしているそうです。
