(※写真はイメージです/PIXTA)
介護による生活破綻を防ぐ「両立支援制度」
総務省『令和4年就業構造基本調査』によると、過去1年間に介護・看護を理由に離職した人は約10.6万人にのぼり、その多くが働き盛りの中高年層です。佐藤さんの場合、仕事を辞める決断には至っていませんが、肉体的・精神的負担の大きい介護者は、常に介護離職のリスクと隣り合わせといえるでしょう。
特に、仕事と介護の両立において、公的制度の理解と活用は、自身の生活を守るために不可欠です。労働者には、家族1人につき通算93日まで、最大3回に分けて取得可能な「介護休業制度」が認められています。雇用保険の被保険者であれば、休業期間中に休業開始前賃金の67%が支給される「介護休業給付金」を受け取ることも可能です。
また、短期間の通院付き添いや手続きのために、年5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで取得できる「介護休暇」や、労働者が請求すれば残業が免除される「所定外労働の制限」といった制度も整備されています。しかし、その内容が広く浸透しているとはいえません。
厚生労働省『仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業(令和6年度委託事業)』によると、「介護休業給付金の内容」を知っているのは29.4%、「介護休暇制度の内容」は34.5%、「介護休業制度の内容」は41.0%にとどまります(いずれも正社員が対象)。また実際に利用した制度としては、年次有給休暇が30.0%で最も高い結果となりました。
制度が整備されていても、認知度や利用率は依然として低い状況にあります。制度を利用しない理由として最も多かったのは「勤務先の利用要件を満たしていない」で23.0%。次いで「代替職員がいない」(24.6%)、「業務量が多く仕事が忙しい」(22.3%)と、現場には高いハードルが存在します。
家族を想う責任感から一人で全てを抱え込むことは、共倒れを招く恐れがあります。自身が限界を迎える前に、勤務先や地域包括支援センターへ相談し、公的支援を積極的に活用して介護の負担を分散させることが重要です。
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