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月23万5,000円の受給額と、29歳シングルマザーの本音
ルナさんは現在、5歳と2歳になる2人の息子を抱え、生活保護制度を活用しながら暮らしています。月々の受給額は、生活扶助や住宅扶助、母子加算などを合わせて約23万5,000円。実家の両親も自身の生活で精一杯であり、頼れる親族はいません。働きに出ず、行政の支援に頼るいまの生活について、ルナさんは声を潜めてこう語ります。
「世間の方からみれば、不真面目だと思われるかもしれません。でも……働くと生活が回らないんです」
ママ友の「手取り月17万円」が突きつけた現実
ルナさんが自立への意欲を失いかけたきっかけは、2歳の息子を介して友人になったママの存在でした。同じくシングルマザーであるその友人は、フルタイムの事務職として働いています。気になって彼女の勤務先の給料を調べたら、月収は21万円とありました。手取りに換算してみると、およそ17万円。そこから家賃を払い、社会保険料を引き、子どもの保育料や医療費を支払うと、手元に残るお金はルナさんの受給額を大きく下回ります。
「友人は毎日、朝早くから子どもを預けて働いています。でも、彼女の生活は私よりもずっと苦しそうです。私もそうですが、彼女も養育費を元夫から受け取れていません。彼女は子どもと過ごす時間も削っています。一方、私は息子たちのそばにいられて、お金も彼女より多く手元に残る。私は生活保護のおかげで医療費も無料ですし、水道代などの減免もあります。もし私が彼女と同じように働けば、収入の分だけ保護費が削られ、さらにいままで免除されていた支払いが一気に押し寄せます。でも、いまの私の状況で無理にフルタイムの仕事に就くことは、息子たちの食費や医療費を削ることを意味します。それは親として、息子たちを『最低限の生活』以下に突き落とすことと同じなんです」
働けば働くほど、支援が消える…自立を阻む「制度のジレンマ」
ママ友の手取りは約17万円です。一見、生活できそうにみえる金額ですが、ルナさんとママ友とのあいだには「現金」以上に大きな隔たりがあります。
生活保護受給者のルナさんは、医療費が無料(医療扶助)であり、国民年金保険料の免除、水道料金やNHK受信料の減免措置を受けています。一方、働くママ友はこれらをすべて自腹で支払わなければなりません。
「友人はいつも疲れています。子どもが熱を出せば仕事を休み、その分給料が減り、さらに医療費を払う。休んだときにはお菓子を同僚に配るそうです。一方で私は、子どもの体調が悪ければすぐに病院へ連れていき、そばにいてあげられる。もし私が彼女のように働けば、手元に残るお金が数万円減るだけでなく、保育料や医療費、そしてこれまで免除されていたあらゆる生活のコストが一気にのしかかります。彼女の家計は、いつパンクしてもおかしくない状態にみえます」
生活保護制度には「勤労控除」という、働いた収入の一部を自分の手元に残せる仕組みがあります。しかし、一定額を超えれば、働いて得た収入のほぼ全額分が保護費から差し引かれます。これは実質的に「働いた分だけ課税される」ような状態であり、少しでも生活を楽にしようと働く意欲を構造的に削いでいます。
さらに、生活保護を抜けた瞬間に、すべての免除(医療、税金、公共料金)が消滅します。この「崖」があまりに急勾配であるため、ルナさんのような幼い子を持つ親にとって、自立への一歩は「崖から飛び降りる」ようなリスクを伴うのです。