「先祖代々の墓を守る」ということは、先祖を大切にすることと同じであり、長く美徳とされてきました。しかし現在、墓の維持が次世代の生活を圧迫するケースが深刻化しています。 ある男性のエピソードから、現代社会における供養のあり方と、避けて通れない管理の現実を考えます。
「叔父さんは1円も出さないじゃないか!」親族から“長男失格”と罵られても54歳男性が150万円で「墓じまい」を断行した「死んだあとの責任まで負えない」という本音 (※写真はイメージです/PIXTA)

統計が示す「墓じまい」急増の現実

厚生労働省『令和5年度衛生行政報告例』によると、改葬(墓じまいを含む)の件数は16万6,886件に達し、過去最高を更新した前年の数をさらに上回りました。10年前と比較すると約2倍という驚異的なペースで、先祖代々の墓を畳む人々が増えているのです。

 

この背景には、墓が「心の拠り所」から「物理的なリスク」へと変質した実態があります。 株式会社鎌倉新書『第16回 お墓の消費者全国実態調査』によると、購入したお墓の種類で最も多いのが「樹木葬」で48.5%。一般墓は17.0%と、5〜6人に1人の割合まで落ち込んでいます。

 

さらにお墓を購入した際に重視した点をみていくと、「お墓のタイプ」(49.4%)、「金額」(41.9%)に続いて、「継承者不要」(36.7%)がランクインしました。ここからも、いかに既存のお墓が、遺される人たちにとって負担になっているかがうかがえます。

 

さらに深刻なのは、放置された墓が「無縁墓」と化し、行政や地域社会の負担となる問題です。 総務省『墓地行政に関する調査 -公営墓地における無縁墳墓を中心として-』によると、公営墓地を運営する765市町村のうち、約58%(445市町村)が、管理している墓地に親族の連絡が取れない、または使用者が不明な「無縁墓」を抱えていると回答。適正な管理ができない「無縁墳墓等」が課題となっていることが明らかになりました。

 

これまで「宗教観」や「家族の絆」という言葉で包み隠されてきた墓の問題は、今や空き家問題と同様、管理不能な不動産が引き起こす社会問題として顕在化しています。

 

墓の問題に直面した際は、親族の感情論に流されず、管理コストや継承の可否を冷静に伝えることが大切です。また自治体の相談窓口や専門家を頼り、法的な手続きと供養のバランスを考えた「出口」を早期に描くことが、解決への第一歩となります。

 

[参考資料]

株式会社鎌倉新書『第16回 お墓の消費者全国実態調査』

 

 

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