配偶者に万が一のことがあったら……そんな“縁起でもないこと”を積極的に考える人は、そう多くないでしょう。ただ、共働き家庭はほとんどの場合“2馬力”を前提とした家計バランスのため、特に所得が多いほうの配偶者に万が一のことがあった場合、家計破綻の危機が急激に高まるケースも少なくありません。そこで、万が一の事態に正しく備えるためにも知っておきたい「遺族年金の注意点」を、事例をもとにみていきましょう。
月20万円のはずでは…年収750万円の52歳夫が急逝。子2人の教育費に頭を抱える52歳妻、年金事務所窓口で告げられた「まさかの遺族年金額」に絶句【CFPが「遺族年金の盲点」を警告】
教育費のゴールがみえてきた矢先…
ミユキさん(仮名、52歳)は、同い年の夫と大学生の子ども2人(21歳、19歳)の4人家族です。夫婦共働きで、世帯年収は約1,200万円(夫750万円、妻450万円)、都内の分譲マンションに暮らしていました。
子どもにも手がかからなくなり、教育費のゴール間近……これからは老後資金を貯めよう。そう考えていた矢先、夫が倒れ、急死してしまったのです。
団信(団体信用生命保険)によって住宅ローンは完済となりましたが、子どもたちは2人とも大学生で、まだお金がかかります。そんな中での夫の死。家計は夫婦共働きで回っており、「夫婦どちらかに万が一のことがあった場合のシミュレーション」などはしていませんでした。
精神的なショックに加え、「これからのお金」への不安が一気に押し寄せてきたミユキさん。
「そうだ、遺族年金の手続きをしないと……」
ミユキさんは遺族年金について、「夫が受け取れるはずだった厚生年金の4分の3」と「子どもの分」が支給されるという認識だったといいます。そのため、月額で20万円ほどをイメージしていたそうです。
しかし、年金事務所で告げられた金額は、その試算よりもずっと少ないものでした。
ミユキさん「大学生の子が二人いるんですが、遺族年金はいくらくらい受け取れそうでしょうか。夫の年金額を考えると、20万円くらいはありますよね?」
職員「きちんと計算する必要がありますが、月に11万円ほどになりそうです」
ミユキさん「えっ……」
遺族年金の仕組み
遺族年金とは、国民年金または厚生年金の被保険者(もしくは被保険者であった人)が亡くなった場合に、遺族が受け取れる年金です。
日本の公的年金制度は、1階部分を国民年金、2階部分を厚生年金として「2階建て」といわれることがありますが、これは遺族年金についても同じです。国民年金に加入していた人が亡くなったときに支給される「遺族基礎年金」と、厚生年金に加入していた人が亡くなったときに支給される「遺族厚生年金」があります。
遺族年金を受け取るためには、それぞれ受給要件を満たす必要があります。