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高齢者を狙う「サポート詐欺」の増加
国民生活センター『全国の消費生活相談の状況』によると、2024年度の消費生活相談件数は約91.0万件に達し、前年度から約2万件増加しました。特筆すべきは、契約当事者の年代別割合で70歳以上が26.2%と、2015年度以降で最高を記録している点です。
また、情報処理推進機構(IPA)の統計によれば、「ウイルス検出の偽警告(サポート詐欺)」に関する相談は、2025年の1年間だけで計3,432件寄せられており、依然として高止まりの状況が続いています。
一度振り込んでしまった現金は、海外口座を経由するなどして追跡が困難になるケースがほとんどで、被害回復率は極めて低いのが現状です。また、クレジットカードの不正利用についても、本人が「遠隔操作」を承諾し、自らパスワードを入力したと見なされると、規約上の「重大な過失」と判断され、盗難保険の適用外となるリスクがあります。貯蓄を失うだけでなく、月々の年金から負債を返済し続ける「年金生活の崩壊」こそが、現代の高齢者が直面する最大の脅威といえるでしょう。
こうした悲劇を防ぐためには、具体的なシステム上の対策が必要です。
まず知っておくべきは、正規のマイクロソフトやウイルス対策ソフト会社が、画面上に電話番号を表示して連絡を求めることは絶対にないという点です。警告が出たら、慌てずにブラウザを閉じるか、パソコンを強制終了させるだけで実害は防げます。
加えて「サポートのため」と言われても、外部から自分のパソコンを操作させるソフトを絶対に入れてはいけません。これを許可した時点で、パソコン内のすべての情報(写真、連絡先、銀行ログイン情報)が相手の手中に落ちることを認識する必要があります。
今回のケースでは、父が「恥ずかしくて言えなかった」ことが被害を拡大させました。家族は、高齢の親のパソコンやスマホに「不審なアプリ」が入っていないか定期的に確認し、万が一の際にすぐ相談できる環境を作っておくことが重要です。
真面目に生きてきた高齢者ほど、トラブルを自力で解決しようとして深みに嵌まる傾向があります。老後の安泰を守るためには、もはや個人のリテラシーだけでなく、家族の積極的な介入が不可欠な時代になっているのかもしれません。