有名大学を卒業し、大手企業で順調にキャリアを積んでいた自慢の長男が、37歳にして「FIRE」を宣言。6,000万円の資産で投資生活に入ると言うのですが、定年を迎えたばかりの石川さん(65歳、仮名)には理解の範囲を超えた選択でした。本当にお金は足りるのか? そして何より、働かない息子を誇りに思えるのでしょうか。FIREの課題と解決策について、FPの青山創星氏と一緒に考えてみましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「父さん、僕はもう一生働かない」…資産6,000万円、大手企業勤務の37歳長男が意気揚々と〈FIRE宣言〉。3ヵ月後、65歳父の不安が倍増した「息子の変化」【FPの助言】
老後資金が足りなくなった場合の「最も怖いシナリオ」
永瀬さんはここで、最も怖いシナリオを示しました。
「資産が想定通りに持たなかった場合、息子さんが年金を早く手に入れるため、繰上げ受給を選択する可能性もあるでしょう。しかし、これは最悪の選択になりかねません」
繰上げ受給は1ヵ月あたり0.4%の減額が一生続きます。60歳開始なら24%減で、月約12万円の年金が約7.6万円にまで下がり、いったん受給を始めると取り消せません。
繰上げのデメリットはそれだけではなく「年金の保険機能への影響もあります」と永瀬さんは続けます。
公的年金には障害年金・遺族年金という保険機能もあります。障害年金は、発症時(初診日)に何の年金に加入していたかで金額が大きく変わります。在職中(厚生年金加入中)なら月約15~16万円ですが、FIRE後なら月約7万円(いずれも非課税)。
さらに、老齢年金を繰り上げると障害基礎年金も障害厚生年金も原則請求できなくなります。将来の配偶者が受け取るはずの寡婦年金も消滅します。
「減額された年金で暮らしながら、大きな病気や事故に遭っても障害年金が使えない。意外と知られていませんが、これは繰上げ受給の裏側にある大きなリスクです」