情熱とともに仕事に打ち込んでいたのに…50代会社員の変化

田中一也さん(56歳・仮名)は、地方都市にある大手製造業で課長職を務める会社員。生産管理部門に所属し、現場と取引先の板挟みにあいながらも、これまで数々の問題を解決してきました。

40代からは課長として、コスト削減を求める上層部と、品質や納期を重視する現場・顧客の間に立ち、冷静な判断と交渉力で組織を支えてきた存在です。部下からの信頼も厚く、「困ったときは田中さん」と頼られていました。

しかし、ここ最近の田中さんに、その面影はありません。

以前であれば、自ら前に出て調整していた問題も、今では上司である部長に任せることが増えました。何が起きても「部長の判断を仰ぎましょう」と、どこか他人事のように微笑むだけ。持ち前の頭の良さで上手に上司を動かし、自分は深く関与しない……そんな働き方に変わっていったのです。

ただ淡々と仕事をやり過ごす田中さんの姿に、かつての仕事ぶりを知る部下たちは、いいようのない違和感を覚えます。

「田中さん、変わりましたよね。どうしちゃったんだろう……」

そう囁かれるようになった背景には、冷酷な現実がありました。