会社で求められている成果を上げているわけでもないのに、なぜか辞めない人。陰では「妖精さん」などと揶揄されることもある──。しかし、50代後半の会社員にとって「会社に残る」という選択には、実は明確な理由がある場合もあります。年収、退職金、そして老後資金。数字を冷静に見てみると、「しがみつく」という行動が、実は極めて合理的な判断になることも……。FPの三原由紀氏が詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
誰にどう思われようと構いません…年収600万円・大手企業の57歳平社員、「会議でお菓子ポリポリ」やる気ゼロでも絶対に辞めない。定年まで会社にしがみつく“冷静な戦略”【FPの助言】
大手企業で働く57歳・一般社員の「やる気のない日々」
「ミュートになっていない方、いらっしゃいますね」
オンライン会議の途中、進行役が少し困ったように言いました。会議画面は基本的に全員ビデオオフ。誰が発言しているのか分かりにくい中で、ある音が聞こえてきたのです。
ポリポリ……。
どうやらお菓子を食べている音のようでした。
発信元は、田中一郎さん(仮名・57歳)。電話をしてもつながらない。チャットの返信も遅い。辛うじて会議には参加する。それでも、なぜか会社を辞めることはない――。俗にいう「妖精さん」を超えて、「無敵の社員」といった状態です。
田中さんは現在、大手企業の一般社員です。年収はおよそ600万円。ただ、最初からこの会社にいたわけではありません。新卒で入社した中堅メーカーが、十数年前に大企業へ吸収合併されたのです。
合併前の会社では、営業部の管理職でした。しかし統合後、状況は一変します。組織再編で役職を外れ、若い上司の下で働く立場に。慣れない業務が続く中で、次第に体調を崩しました。
職場環境の変化によるストレスが積み重なり、メンタル面にも影響が出ました。もともと抱えていた慢性的な腰痛も悪化。休みが増えていきます。評価も下がり、管理職から平社員へ降格になりました。