会社で求められている成果を上げているわけでもないのに、なぜか辞めない人。陰では「妖精さん」などと揶揄されることもある──。しかし、50代後半の会社員にとって「会社に残る」という選択には、実は明確な理由がある場合もあります。年収、退職金、そして老後資金。数字を冷静に見てみると、「しがみつく」という行動が、実は極めて合理的な判断になることも……。FPの三原由紀氏が詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
誰にどう思われようと構いません…年収600万円・大手企業の57歳平社員、「会議でお菓子ポリポリ」やる気ゼロでも絶対に辞めない。定年まで会社にしがみつく“冷静な戦略”【FPの助言】
周囲の視線も気にしない…決して会社を辞めない理由
コロナ禍で会社はリモートワーク中心に。出社が減ったことで、周囲との距離はさらに広がりました。
「すみません、体調を崩していて……」
関係部署から「締め切りが過ぎている」と連絡が入ることもあります。そのたびに田中さんは素直に謝りますが、同じことが何度も繰り返されます。上司との月例面談でも改善を求められますが、田中さんはいつも同じ言葉を口にします。
「気をつけます」
会社や同僚の立場ならば「なぜ辞めないのか」と思うかもしれません。ですが、田中さんはすっかりモチベーションを失った状態であっても、退職や転職を考えることはありません。
もし今の会社で65歳になるまで働ければ、残り8年。年収600万円なら、給与だけで約4,800万円になります。さらに、会社規程どおりに支払われれば、退職金は約1,000万円。合計すれば、約5,800万円にのぼる計算です。
しかも、田中さんには高校生の息子がいます。大学進学となれば、まだ教育費もかかります。
「どう思われようとも、ここで辞めようとは思わない。65歳までしがみつく」
それが、田中さんの本音でした。