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家族が抱え込む「介護」の限界
こうした状況は珍しいものではありません。総務省統計局「2022年 就業構造基本調査」によると、介護や看護を理由に離職した人は年間約10万6,000人とされています。特に40〜50代の働き盛り世代が多いのが特徴です。
一方、厚生労働省「国民生活基礎調査」では、要介護者を自宅で介護する主な介護者のうち、約6割が同居家族とされています。家族が中心になって支える構図は、今も変わっていません。
ここで見落とされがちな点があります。それは「仕事の責任が増える年代」と「親の介護が始まる年代」が重なることです。企業では40代後半から管理職になる人が増え、同時に親は70代後半に差し掛かります。つまり、仕事と介護の負担が同時にピークを迎える構造になっているのです。
そのため専門家は、「家族だけで抱え込む前提を見直す必要がある」と指摘しています。介護サービスや施設を利用することは、必ずしも“家族の放棄”ではありません。むしろ生活を維持するための選択肢の一つです。介護は長期戦になることが多く、数カ月では終わりません。家族が無理を続ければ、仕事や健康まで損なわれてしまう可能性があります。
佐藤さんはこう振り返ります。
「親のために頑張ることと、自分の生活を守ること。その境目を考える必要があると思いました」
家族の形が多様になるなか、介護の担い方もまた変わりつつあります。重要なのは、誰か一人が限界まで背負う形ではなく、複数の仕組みを組み合わせて支えることなのかもしれません。