毎月の奨学金返済に苦しんでいたMさん(28歳)は、「減額返還制度」を利用して支払いを半額にすることに成功。生活費に余裕が生まれ、我慢していた美容院にも行けるようになり喜んだのもつかの間、今後の返済スケジュールを見たMさんは言葉を失います。月々の負担は減っても借金総額は減らず、完済は46歳という長すぎる現実に落胆する20代女性の事例を紹介します。
「結局は借金の先延ばし…」年収370万円・28歳女性、奨学金の引き落とし半額に歓喜も〈完済は46歳〉の現実。長すぎる返済期間に絶望 (※写真はイメージです/PIXTA)

「減額返還制度」の条件と注意点

日本学生支援機構(JASSO)のデータによると、大学の学部生で奨学金を利用している人の平均借入総額は、第一種で208万円、第二種で336万円にのぼります。社会に出た瞬間から300万円以上の負債を抱え、平均して約15年間という長期にわたって返済を続けるのが一般的なスケジュールです。

 

こうした若者の返済負担を少しでも和らげるため、日本学生支援機構は「減額返還制度」の条件緩和を2024年に行いました。これは、病気や経済困難などの理由で本来の返還額を支払うのが難しい場合、毎月の返還額を3分の2、2分の1、3分の1、あるいは4分の1に減額して返還を続けられる制度です。

 

以前は利用できる本人の年間収入上限が325万円以下でしたが、現在では年間収入400万円以下にまで引き上げられています。これにより、年収300万円台の会社員でも制度を利用しやすくなりました。手取りが少なく生活が苦しい若手社会人にとって、月々のキャッシュフローが改善されるこの制度はまさに命綱となります。

 

しかし、Mさんが直面したように、この制度はあくまで「1回あたりの返還額を減らし、そのぶん返還期間を長くする」仕組みです。支払う総額(元金や利息)が減免されるわけではありません。返済期間が20年、30年と延びれば、結婚資金、住宅ローン、子どもの教育費といった人生の大きな出費のタイミングと奨学金の返済が重なることになります。

 

制度を利用して当面の危機をしのいだあとは、収入が上がったタイミングで繰り上げ返済を検討するなど、長期的な視点での家計管理が必要不可欠です。

 

[参考資料]

日本学生支援機構(JASSO)「奨学金事業に関するデータ集」