(※画像はイメージです/PIXTA)
あまり隠す気もなさそうな「妻の20年不倫」
さらに夫Sさんにとってショッキングな事実が発覚します。妻に、不倫相手がいるようなのです。
気づいたきっかけは、妻のタブレットでした。ダイニングテーブルに置きっぱなしになっていたタブレットの画面には、メッセージアプリのトーク画面が見えています。いけないと思いつつ、妻が入浴中のためちょっと覗いてみると、そこには男性とのやりとりがありました。妻は趣味が多く、友人には男性もいるだろうと思ってはいましたが、そのやりとりは友人という雰囲気ではありません。詳しく読もうと、トーク履歴を急いでプリントアウト。膨大な量です。Sさんは自室に行ってゆっくりと目を通しました。
残酷なことに、不倫相手と妻Mさんとのやりとりは、本当の夫婦のようなものでした。妻はがん検診で再検査となったことがあるらしく、その結果が出るまでの不安な心境を相手に吐露していたり。不倫相手の娘がメンタル疾患で大学を中退したことを、妻が心配し親身に相談に乗っていたり。不倫相手の男性が職場で昇進したことを大喜びして、今度お祝いでランチしましょうと誘っていたり。妻は次女の夫に多額の借金があることを心配していて、不倫相手に相談したということもわかりました。夫の自分はなにひとつ聞いたことがありません。
不倫をイメージすると、浮かれて夢中になった遊びのはずですが、メッセージアプリのやりとりを見ていると、もはやそのような不倫のイメージを超越し、精神的に信頼したパートナーという雰囲気です。さらに驚いたのは、その付き合いがちょうど20年にもなるということ。今年が20年目の記念日だというやりとりをみつけました。「お祝いを兼ねて函館に旅行に行かない?」と、妻のほうから誘ったことも。湯の川温泉に気になるホテルがあるとかなんとか……。
「これまでずっと、友達と旅行に行くというのはこの男性とだったのか」
不倫相手が妻より2歳年下であることもわかりました。20年前に、妻が38歳のときに出会った36歳の男だったということです。
20年前……自分は家族とどんな関係だっただろうと思い出そうとしましたが、なに一つ覚えていません。覚えているのは自分が職場でプロジェクトリーダーを任された時期だったということだけ。中学生と小学生だった娘たちの学校の成績も部活の様子も思い出せないほど、自分は家族を顧みなかったのかと愕然とします。
若いころならきっと、これはなんだと騒いだかもしれません。しかし、夫Sさんはもはやそのようなことを言い出す元気もありません。それにこの事実を持ち出して責めたところで、妻がこの関係をやめるとは思えません。切られるのは夫の自分のほうだろう、とSさんは自覚しています。
そっとトーク履歴を印刷した紙を捨て、知らないふりを突き通すことにしました。それが苦しいかといわれると苦しいのですが、我慢できなくもありません。