老後の生活を支える柱となる公的年金ですが、その受給額は現役時代の加入状況によって決定されます。不足分を補おうと窓口を訪れても、制度上の制約から希望が叶わないケースは少なくありません。ある男性のケースを見ていきます。
年金月17万円・65歳男性「1年分の未納を払いたい」と年金事務所へ向かうも、職員「できません」と拒絶。まさかの年金ルールに「何かの間違いでは」 (※写真はイメージです/PIXTA)

国民年金保険料の未納と追納制度の現状

年金制度において、保険料の納付期限を過ぎた後の対応には「後納」と「追納」の2種類が存在します。単なる未納状態(未手続き)の場合、保険料を遡って納付できる期間は法律により「過去2年間」と定められています。一方、申請により「免除」や「納付猶予」の承認を受けていた期間については、10年前まで遡って納めることが可能です。

 

厚生労働省の調査によると、国民年金保険料の納付率は78.6%(令和6年度分、2024年度実績)となっており、過去10年間で上昇傾向にあります。しかし、未納期間を残したまま受給年齢に達するケースは依然として存在します。

 

老齢基礎年金の受給権が発生した後は、原則として国民年金への任意加入は認められません。制度上の救済措置として、65歳以上70歳未満の期間に加入できる「特例任意加入」がありますが、これは受給資格期間(10年)を満たしていない者に限定されており、受給中の者が受給額を増やす目的で利用することはできません。

 

内閣府『「生活設計と年金に関する世論調査」(令和5年11月調査)』では、老齢年金の仕組みや役割についての認識について問いかけていますが、「(年金制度は)現役世代が年金を受け取っている高齢者を扶養する制度である」66.8%、「保険料の納付状況に応じて年金額が変動する」62.5%など、年金制度の基本でさえ、理解が広がっていないという現状があります。しかし複雑な年金制度であっても「知らなかった」と言ってもどうにもなりません。老後の生活設計のためにも、理解を深める必要があります。