定年後も継続して働く高年齢者が増加しています。しかし、再雇用時の賃金体系は一律の減額規定を設けている企業が多く、意欲の減退が課題となっています。一方で、定年時以上の報酬を得るケースも存在します。ある男性の事例を見ていきましょう。
55歳・役職定年で「年収1,000万円」から半減の絶望も…60歳再雇用で「定年前の年収」を抜き去ったサラリーマンの逆転劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

高年齢者の処遇改善とスキル活用の現状

日本の労働市場では、少子高齢化に伴う労働力不足を背景に、高年齢者の就業継続が加速しています。厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告」によると、65歳までの雇用確保措置を講じている企業の割合は99.9%に達しており、さらに70歳までの就業確保措置を講じている企業は令和7年度報告で34.8%と、上昇傾向にあります。

 

一方で、定年後の給与減は、主に雇用形態の変化によるものです。定年後(60歳以降)の再雇用では、「嘱託・契約社員」が6割ほど、「正社員」が3~4割ほどとされています。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、男性正社員の場合、50代後半の平均年収は753.8万円ですが、60代前半では590.5万円となり、60歳を境に約2割減少します。さらに非正規社員の場合は60代前半で460.7万円。正社員時代からの減少幅は4割にも及びます。

 

これに対し、定年後の賃金設計において、一律の減額ではなく「個人の能力や成果を反映する仕組み」を導入している企業は、大企業を中心に増加傾向にあります。今後は、従来の「年功序列」や「一律再雇用」から脱却し、個人の持つスキルを「資産」として再定義する職務給(ジョブ型)の導入が、労働力確保とシニア層の活性化を両立する解決策として求められています。