投資を始める際、「プロに相談して決めたい」と考える人も多いでしょう。特に対面での丁寧なサポートは、未経験者にとって大きな安心材料となります。しかし、その手厚いサポートの対価はいくらなのでしょうか。本記事ではニックFP事務所のCFP山田信彦氏が、山崎さん(仮名)の事例とともに、運用効率を最大化するために、知っておくべき「アドバイスの本質」を紐解きます。※個人の特定を防ぐため、事例の一部を脚色しています。
カモになりたくなかった…退職金1,500万円で投資デビューした60歳定年父の悲劇。“投資のプロ”を信じた父が「元本割れ」、ほったらかしの社会人3年目息子が「+10%」、差が出た残酷な理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

「投資のプロ」と「野球や囲碁のプロ」との違い

「それは、証券会社の営業マンの給与はその会社が支払ってくれているので自分には負担がなくて得だ、という理屈と同じです。調べてみましたが、山崎さんが勧められた投資信託は、すべて『アクティブ運用型』で、信託報酬(管理コスト)が高いものばかりでした。具体的な手数料は、つみたて投資枠では金融庁が指定した上限ギリギリの1.5%程度、成長投資枠分は2%超え。山崎さんの息子さんがネットで買ったインデックス型と比べれば、その差は歴然です。低コスト型のインデックス投資信託の信託報酬は0.05%前後ですから、いかに高い物を言葉巧みに掴まされたかがわかるでしょう」

 

FPは続けます。

 

「それでも結果さえ出ればよいという考え方はもちろんあります。しかし、高い手数料の投資商品だからといって成績が伴うわけではありません。むしろ長期では、このコストの差が運用成績にダメージを与えます。『投資のプロ』『資産運用のプロ』というのは、野球や囲碁のプロのような絶対的な実力を持っているという意味ではありません。単にそれを職業にしているという程度の定義だと認識したほうがいいでしょう。そもそも本当に勝ち続ける投資のプロがいたとしたら、見ず知らずの人にその方法を教えるなんてことはせず、自分の資金で静かに稼いでいるはずだと思いませんか?」

 

言葉を失いかけている山崎さんにFPは優しく助言しました。

 

「インフレの世の中で投資は必要です。しかし、わざわざ手数料の高い商品を推奨してくる窓口を経由する必要はありません。手数料が低く、純資産総額と呼ばれる顧客からの預かり金額が大きく、世界経済全体の成長に準ずるようなインデックス型ファンドを、長期・積立・分散というオーソドックスな手法でやればいいだけです」

 

自宅に戻った山崎さんは、ネット証券でのIFAコースを通常のインターネットコースに切り替えて、長男から教えてもらった低コストのインデックス型ファンドでの「ほったらかし積立投資」にすることで、平穏な日々の生活を取り戻すことができました。

 

 

山田 信彦

ニックFP事務所

代表