投資を始める際、「プロに相談して決めたい」と考える人も多いでしょう。特に対面での丁寧なサポートは、未経験者にとって大きな安心材料となります。しかし、その手厚いサポートの対価はいくらなのでしょうか。本記事ではニックFP事務所のCFP山田信彦氏が、山崎さん(仮名)の事例とともに、運用効率を最大化するために、知っておくべき「アドバイスの本質」を紐解きます。※個人の特定を防ぐため、事例の一部を脚色しています。
カモになりたくなかった…退職金1,500万円で投資デビューした60歳定年父の悲劇。“投資のプロ”を信じた父が「元本割れ」、ほったらかしの社会人3年目息子が「+10%」、差が出た残酷な理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

1年後のもやもや…史上最高値の陰で「増えない資産」

口座開設後、山崎さんはIFAの助言に従って、余剰資金としてわけていた退職金を使い、運用をスタートさせました。まずは「つみたて投資枠」で月10万円ずつ、4本のお勧め投資信託各2万5,000円ずつを購入。同時に、「成長投資枠」でも100万円分のプレミアム株式と銘打った投資信託を購入することに。なかには「IFAコース専用」と書かれた商品もあり、山崎さんは「自分は特別なものを紹介された」と有頂天になります。

 

しかし運用開始から1年。昨年末に見直してみると、世間では「日経株価や米国株価が史上最高値を更新した」と景気がよい話が出回っているにもかかわらず、山崎さんが1年間で投資した合計220万円は増えるどころか、元本を少し下回るくらいの時価評価額となっていました。

 

同じ昨年末、驚いたのは社会人3年目の長男の言葉です。別のネット証券でNISA口座を開設し、いわゆるオルカン型の低コストインデックス型の投資信託での積立投資を始めた長男は、すでに「10%以上増えた」といっています。

 

「なぜ、プロがついている自分の投資成績が、素人の息子に負けているのか?」

 

悶々とした山崎さんは、知り合いのこちらも「独立系」のFPに今回の件についての意見を聞いてみることにしました。

独立系FPが解説する「独立系」の真意

話を聞いたFPは、苦笑しながらこう切り出しました。

 

「独立系といってもいろいろな意味がありますからね。私の場合の“独立”は “商品を売らないので相談者との利益相反がない” という意味ですが、IFAの “I=Independent=独立した” というのは、単に “特定の銀行や証券会社の社員ではない” という意味に過ぎない場合が多いのです」

 

狐につままれたような顔をする山崎さんに、FPはIFAとネット証券の「共生関係」を明かしました。

 

FPの解説まとめ:

◎世の中には山崎さんのように投資に興味を持ちながらも、対面型の金融機関への警戒心もあり、ネット証券を利用して投資を始めたいと考えている人が一定数いる。

 

◎しかし、なかには画面操作や商品選択も含めて自分一人では自信がないために、そのまま止まってしまっている人も多い。ネット証券会社としてはそのような潜在顧客を自分たちの利益を一部削ってでも取り込みたいと考えている。

 

◎そこで便利な存在なのがIFA。彼らにネット証券会社が得る手数料の一部を成功報酬として渡すことを約束し、潜在的な顧客に接近させる。IFAは証券会社の社員ではないので客は「錯覚」を起こし購入商品の選択をIFAに実質的に任せる状況も作り得る。

 

「なるほど。でもその購入手数料を証券会社が払ってくれているのであれば問題ないじゃないですか?」と山崎さんは質問します。

 

「山崎さん、それこそが仕組みの妙なんです」とFPはいいました。