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世帯構成の変化に伴う家計収支の変動
山本さんの事例が示す通り、十分な資産を持つ世帯であっても、配偶者との死別によって家計がひっ迫するリスクがあります。
1.遺族年金移行後の収支シミュレーション
厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金(第1号)受給者の平均年金月額は、基礎年金を含めて15万1,142円です。しかし、夫が先立った場合の遺族厚生年金は、原則として夫の報酬比例部分の4分の3となります。
山本さんのケースでは、合算後の受取額が月14万円程度に減少します。総務省『家計調査 家計収支編 2025年平均』によると、高齢単身世帯の1ヵ月あたりの消費支出は平均15万5,782円。この時点で、すでに赤字です。ここに修繕積立金や固定資産税、医療・介護の予備費などを加味すると、公的年金のみでは月数万円の不足が常態化すると考えられます。
2.生存期間の長期化と資産寿命
厚生労働省『令和5年簡易生命表』によると、日本人女性の平均寿命は87.14歳。65歳時点の女性の平均余命は24.38年であり、約4人に1人が95歳まで生存する推計です。仮に年間100万円の赤字を貯蓄で補填し続けた場合、25年間で2,500万円を消費する計算となります。
3.高齢者就労による経済的・社会的効用
内閣府『令和6年版高齢社会白書』によると、現在65歳から69歳の就業率は52.0%に達しており、高齢者の就労は一般的となっています。
月8万円の給与収入を得ることは、年間96万円のキャッシュフローを生み出し、資産の取り崩しなしで生活を維持できる可能性を高めます。また、就労による社会参画が健康寿命の延伸に寄与し、結果として将来的な自己負担医療費の抑制につながるという指摘もあります。