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「不便」を資産に変える、新しい老後の選択肢
高橋さん夫婦の地方移住の成功例から、学ぶべき点は少なくありません。
まず注目すべきは、あえて「不便」を選択することで得られる健康上の利点です。厚生労働省の『健康日本21(第三次)』では、高齢者のフレイル(虚弱)予防として、日常生活における歩数増加や社会参加が強く推奨されています。
都市部では意識的な運動が必要ですが、離島での「車がなければ買い物に行けない」「畑を耕し近所とお裾分けし合う」という環境は、自然と生活の中にリハビリテーションを組み込む形となっており、数値化しにくい「健康資産」の維持に寄与しています。
また、経済面においても非常に戦略的です。総務省統計局『家計調査 家計収支編 2025年平均』によると、高齢夫婦無職世帯の消費支出は月平均で約25万円。しかし、高橋さん夫婦は住居費の安い地方賃貸を選び、都市型消費から距離を置くことで、月17万円の年金内でも余裕のある生活を実現しました。これにより、退職金や預貯金を切り崩さずに温存できています。
何より注目すべきは、「賃貸」という選択による身軽さです。内閣府『令和6年版高齢社会白書』では、高齢者の持ち家率が約9割と高い一方で、将来の独居化に伴う「空き家問題」や「住み替えの困難さ」が指摘されています。
高橋さん夫婦のように、資産を不動産に固定せず、流動性の高い現金として手元に残しておくことで、万一、医療や介護が必要になった際にも、即座に最適な環境へ移る「クイックな行動」が可能になります。この経済的・心理的な余裕こそが、不便さえも「最高の贅沢」として楽しめる要因といえそうです。