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崩壊する実家と、繰り返される無心
「母から電話が来るたびに、動悸がするようになりました。次はいくら要求されるのか、という恐怖からです」
都内の企業で働く岡田直人さん(59歳・仮名)。一人娘は大学を卒業後に親元を離れ、先日、結婚をしたそうです。子どもの教育費はひと段落し、住宅ローンの完済まで、あとひと息。今は定年後を見据えて、貯蓄を加速させているところだといいます。
そんな岡田さんの悩みの種が、千葉県の実家に暮らす母(81歳)と妹(56歳)。妹は一度も定職に就いたことがありません。自称アーティストとして、実家の一室をアトリエにし、母に画材代や個展の費用を工面させてきました。2年前に父が亡くなった際、直人さんは妹の行く末を案じ、あえて相続分をすべて放棄しました。しかし、それがかえって事態を悪化させることになりました。
昨年2月、母から突然「80万円用意してほしい」と連絡がありました。妹の新作の制作費と、古くなった自宅の修繕費という名目でした。直人さんが「自分たちに余裕はない。妹を働かせるべきだ」と断ると、母の態度は一変しました。
「あんたは自分だけ幸せになればいいのか。ひとり娘のお祝いも出してあげたのに、実家が大変な時に助けないのか」
母はかつての恩を盾に、直人さんを激しく非難しました。妹からも「芸術を解さない冷酷な人間」と罵られたといいます。さらに数ヵ月後、いとこから「おばさんがうちにまで来て、50万円貸してくれと土下座して回っている」という連絡が入りました。母は友人や親戚を回り、断られ続けてもなお、働かない妹の「夢」のために借金を重ねようとしていたのです。
「妻は『80万円渡して、もう二度と関わらないようにしよう』と言っています。金で解決できるなら、という思いもあります。でも母を見捨てた自分を、この先許せるのか。実家に帰らなくなって1年になりますが、今も気持ちの整理がつかないままです」