食費に光熱費、公共交通機関にいたるまで、値上げが止まらない昨今。なかでも就業人口の約7人に1人を占める非正規雇用者は、低賃金にあえぐ生活を強いられているのが現状です。節約も限界を迎え、“禁断の一手”に手を出すケースも――。
お金なくて、夜の公園のトイレで…手取り月14万円・46歳非正規雇用の兄、バレる。41歳弟が「血の繋がりすら嫌になる」と嘆く、一線を超えた兄のゼロ円生活 (※写真はイメージです/PIXTA)

8050問題へ発展するリスク

家族が窮状を救うために「実家へ呼び戻す」のは自然な反応ですが、これには大きなリスクが潜んでいます。

 

今回のケースで最も危惧すべきは、親の高齢化です。72歳の母親が、46歳の息子を支える構図は、数年後には「80代の親が50代の無資力な息子を抱える」という8050問題へと直結します。親の年金という限られたリソースに依存する生活は、親が倒れた瞬間に共倒れするリスクが潜んでいるのです。

 

また、一度極限まで追い詰められたユウジさんにとって、実家の「安全な環境」は、裏を返せば「社会からの逃避先」にもなり得ます。40代で親に依存し直すことは、本人の自尊心をさらに傷つけ、再起の意欲を奪ってしまう恐れも。ユウジさんが追い詰められたのは、彼の性格の問題ではなく、「手取り月14万円でインフレに晒される」という社会構造にあります。実家に帰ることで固定費は浮きますが、低賃金の非正規雇用のままでは、将来の年金受給額も極めて低く、一生を親や兄弟に依存し続けることになりかねません。

 

「家族が抱え込む」ことは、問題を先送りにするだけです。生活保護の受給まで至らなくとも、働いている低所得層を支援する制度(住宅確保給付金や家計改善支援)があります。実家に戻ったあとも、外部の専門家と繋がっておくことが重要です。

 

さらに、単に「実家から仕事に通う」だけでなく、非正規からより安定した条件への転職を目指すなど、行政の就労支援を活用して「自分ひとりで生きる力」を再構築する必要があります。40代の困窮を救うのは、忍耐ではなく「相談」という勇気です。独りで抱え込まず、外部の支援を頼りましょう。