かつては富裕層の象徴だったタワマンも、いまや20代・30代のパワーカップルが「職住近接」を実現するための有力な選択肢となりました。彼らの多くは、都市部の利便性を最大限に活かし、維持費のかかる自家用車をあえて持たない合理性を重視しています。しかし、多くのマンション管理が「駐車場代による収益」を前提に設計されているため、この現代的なライフスタイルと建物の管理構造のあいだには、深刻なギャップが生まれているようです。本記事では、Aさん夫婦の事例とともに、マンションの駐車場の落とし穴について、社会保険労務士法人エニシアFP共同代表の三藤桂子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
湾岸タワマンをフルローンで買った「世帯月収75万円+インセンティブ給」の35歳共働き夫婦。同世代に囲まれ、満ち足りた新生活を始めるも…眺望の足元に潜む「機械式駐車場」の落とし穴【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

劇的に縮んだ「若い世代」と「タワマン」の距離感

タワマンとは、一般的に20階以上の高層集合住宅を指します。そのステータス性や昨今の都心部の不動産価格高騰を受け、億を超えるような物件も少なくありません。それゆえに、かつては若い世代には手の届かない存在でしたが、近年の働き方の変化がその壁を低くしています。

 

年齢や勤続年数ではなく、個人の仕事の結果(パフォーマンス)で評価・報酬を決める成果主義・能力主義を採用する会社が増えました。それに伴う賃金上昇は無視できない要因です。また、人手不足による若手獲得を目的とした初任給の上昇も影響しています。大卒の初任給は、2000年の男性19万7,000円/女性18万7,000円から、2024年には男性が25万1,000円、女性は24万5,000円へと大幅上昇。なかには初任給30万円を超える企業も現れています。

 

こうした背景から、若くして高所得を得る「パワーカップル」がタワマンを購入することは、もはや珍しいことではありません。

 

30代パワーカップルが手にした「湾岸エリア」の理想郷

35歳の同級生夫婦であるAさんも、そんな共働き夫婦の一組です。夫婦とも都内の会社に勤務する共働きで、協力し合って家計を支えています。Aさんの収入は月40万円、妻は35万円。成果によっては賞与の上乗せもあり、世帯年収は約1,000万円を超えています。小学入学前の息子との3人家族で、これまで都内の賃貸マンションで暮らしてきましたが、息子の小学校入学を機にマイホームを検討しはじめました。

 

週末になるとネットで調べ、不動産会社をいくつか訪問。長い目でみて、せっかく購入するなら眺望のよいタワマンに住みたいと考えるように。ですが、多くのタワマンは億ションのため、自分たちには手が出せないと思っていました。しかし、「フルローンであれば購入できる」と不動産会社から助言され、憧れのタワマン生活が現実のものになったのです。