共働きが当たり前の時代になっても、家庭内の役割分担や家計のあり方に「見えない偏り」を感じる人は少なくありません。十分な収入を得ているはずの女性が、なぜか家事の外注に罪悪感を抱いてしまう……。ある夫婦のケースをみていきましょう。
「もう限界です…」月収32万円・40歳妻、無理解な42歳夫に絶句。家計を支える自負を砕く「補助扱いの呪縛」、救ったのは「義母の痛烈なひと言」 (※写真はイメージです/PIXTA)

共働き世帯に潜む「補助」という認識の罠

佐藤加奈子さんの事例は、現代の共働き夫婦が直面する「心理的ジェンダー・ギャップ」を浮き彫りにしています。世帯年収の約6割を担いながらも、なぜ彼女は自身の収入を「補助」と感じ、家事代行に罪悪感を抱いてしまうのでしょうか。

 

日本の共働き世帯において、家計管理の形式が意識に与える影響は小さくありません。内閣府『男女共同参画白書』や関連調査では、共働き世帯でも家事・家計管理など日常的な家庭運営は妻が担う割合が高く、また「男性が家計を支えるべき」という意識も一定程度残っています。

 

このため、住居費などの固定費を夫が主に負担し、食費や日用品などの流動費を妻が担う形がみられると指摘されています。また同白書の令和5年版では、共働き世帯においても家事・育児時間は依然として女性に偏っており、女性の家事時間は男性の数倍(概ね4倍前後)に達しているとされています。

 

加奈子さんのケースのように、夫が「主」、妻が「従(補助)」という役割分担を無意識に受け入れている背景には、こうした社会的・構造的なバイアスが強く影響しているのです。

 

加奈子さんが自費で家事代行を頼む際に抱く「申し訳なさ」は、株式会社タスカジが行った『家事代行利用の実態調査2022』からも読み取ることができます。

 

同調査によると、家事代行を使い始めるまで55%の人が抵抗感を持っており、特に女性は男性(23%)を大きく上回る43%が「家事を人にやってもらうことに罪悪感があった」と回答しています。また、40%の女性が「利用前に自分で家を綺麗にしなければ」と感じており、女性特有の心理的ハードルの高さが顕著です。

 

一方で、同調査ではリーダー的ポジションで働く人の9割が、家事代行の利用はキャリア形成に「有効」だと回答。利用後の感想として「『自分ですべてやる』という呪縛から解放された」という声も上がっています。

 

義母・恵子さんが説いた「時間を買う合理性」は、単なる贅沢ではなく、仕事で成果を出し続け、安定した収入を得るために必要な「車のガソリン代」のようなものです。家事代行によって生まれた時間や心の余裕が、結果として加奈子さんのキャリアを支え、家族の経済的な安定を守ることにつながるのです。