佐久間均さん(仮名・61歳)の父親は質素倹約を絵に描いたような人でした。その父が急逝し、残されたノートから金融資産5000万円が発覚。しかし口座の詳細は一切不明で、手続きは困難を極めました。さらに、やっとの思いで手にした遺産が、佐久間さんの人生を狂わせます。相続の落とし穴を事前に知っておくことが最善の防御策。青山創星氏が詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
質素倹約を貫いた85歳父が、生前密かに貯めていた「“隠し財産”5,000万円」…予期せぬ大金を相続した61歳息子の「まさかの暴走」【FPの助言】
資産相続で家族を守るために
佐久間さんが家族との絆を取り戻せるかは、彼自身のこれからの心掛け次第でしょう。今回の佐久間さんの体験から学ぶべきポイントは以下の通りです。
●事前の情報共有:証券口座の詳細(会社名・口座番号・ID)は家族と共有し、遺言書か財産目録を作成しておく。
●資産の目的を伝える:なぜ築いたのか、どう使ってほしいのかを明確に伝えておくこと。
●段階的な相続対策:生前から少しずつ資産について話し合い、110万円の暦年贈与枠も活用する。ただし、2024年1月以降の贈与については、相続前加算期間が7年に延長されていることに注意が必要。
● 金銭感覚の維持:大きな相続があっても、基本的な生活スタイルは急に変えない。
● 専門家への早めの相談:相続手続き、資産運用、取得費加算の特例、小規模宅地等の特例の活用などは専門家に相談を。
60代の皆さんにとって、この話は決して他人事ではありません。子どもを本当に思いやるなら、やるべきことはシンプルです。財産の全体像を一覧にまとめ、口座情報やパスワードはできれば紙に書き出して、それを共有しておくこと(その紙の管理は厳重にすること)。
そして、その財産をどんな想いで築き、どう使ってほしいのかを、言葉にして伝えておくこと。この二つがあるだけで、遺された家族は手続きに迷わず、お金の使い道を慎重に考えるはずです。誰にとっても準備は早すぎるということはありません。今日から始めることが、家族への最大の思いやりです。
ファイナンシャルプランナー
青山創星