佐久間均さん(仮名・61歳)の父親は質素倹約を絵に描いたような人でした。その父が急逝し、残されたノートから金融資産5000万円が発覚。しかし口座の詳細は一切不明で、手続きは困難を極めました。さらに、やっとの思いで手にした遺産が、佐久間さんの人生を狂わせます。相続の落とし穴を事前に知っておくことが最善の防御策。青山創星氏が詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
質素倹約を貫いた85歳父が、生前密かに貯めていた「“隠し財産”5,000万円」…予期せぬ大金を相続した61歳息子の「まさかの暴走」【FPの助言】
3年後、減った資産と見つかった父からの手紙
それから3年後――生活費や贅沢により、父から引き継いだ資産は半分以下の約2,000万円まで減っていました。さらに、夫婦でお金をめぐる口論が絶えず、食卓に会話はなくなっていきました。せっかく受け継いだ資産は、安心や幸福につながることもなく、ただ消えていったのです。
そんなある日のことでした。父の遺品整理の際に必要なもの以外は処分していましたが、書類や愛読書など、大きな段ボール1つ分だけは自宅へ持ち帰っていました。それを「場所を取るから」と、もう少し小さな箱に移し替えようと整理していたとき。一冊の本を抜き取った拍子に、薄い封筒が床に落ちました。
中に入っていたのは、1枚の手紙。葬儀は簡素でいいこと、金融機関のリストと共に、手間でも金融機関に連絡を取ること。そして、「お金は家族のために大切に使ってほしい」と書き添えられていました。
「本なんかに挟んでちゃダメだろう、父さん」……そう呟きながらも、佐久間さんは気づきました。自分が失いかけていたのは資産ではなく、父が守ろうとしていた「家族そのもの」だったのだと。