3年後、減った資産と見つかった父からの手紙

それから3年後――生活費や贅沢により、父から引き継いだ資産は半分以下の約2,000万円まで減っていました。さらに、夫婦でお金をめぐる口論が絶えず、食卓に会話はなくなっていきました。せっかく受け継いだ資産は、安心や幸福につながることもなく、ただ消えていったのです。

そんなある日のことでした。父の遺品整理の際に必要なもの以外は処分していましたが、書類や愛読書など、大きな段ボール1つ分だけは自宅へ持ち帰っていました。それを「場所を取るから」と、もう少し小さな箱に移し替えようと整理していたとき。一冊の本を抜き取った拍子に、薄い封筒が床に落ちました。

中に入っていたのは、1枚の手紙。葬儀は簡素でいいこと、金融機関のリストと共に、手間でも金融機関に連絡を取ること。そして、「お金は家族のために大切に使ってほしい」と書き添えられていました。

「本なんかに挟んでちゃダメだろう、父さん」……そう呟きながらも、佐久間さんは気づきました。自分が失いかけていたのは資産ではなく、父が守ろうとしていた「家族そのもの」だったのだと。