「介護保険制度」ができてから約30年、日本の平均寿命は着実に伸び続け、世界トップクラスの長寿国を誇ります。これを支えているのが「国民皆保険」をはじめとした日本の公的保険制度ですが、財源不足や制度設計から、こうした制度が“限界”に近づいていて……。本記事では、高島亜沙美氏著、西智弘氏監修の書籍『人生の終わり方を考えよう 現役看護師が伝える老いと死のプロセス』(KADOKAWA)より、日本の医療・介護の現実を紐解きます。
日本人は、困ったら国や行政がなんとかしてくれると思っている…30年後には「介護保険制度」がなくなる可能性も。欧米の医療従事者が驚愕する「日本の特別養護老人ホーム」の現状 (※写真はイメージです/PIXTA)

若くして「介護保険」を必要とする人も少なくない

介護保険制度に縁がない、という方もいるかもしれませんが、現行では40歳になったら介護保険料が徴収される仕組みになっています。そのあたりの年代から要介護状態になる人が増えてくるので、世代間で連帯するためにもその年齢からにしようと、40歳に決まったようです。

 

実際、40代で老いが進み生活がままならないという人は少ないと思いますが、40代で大病を患い生活に何らかの支障をきたしている人はそこそこいます。老いはじわじわ進みますが、大病は一気にやってきますからね。

 

実際、介護保険制度は65歳からが対象になりますが、下記のような病気の人は、65歳以下でも介護保険制度を利用してサービスを受けることが可能です(*3)

*3 厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」
http://mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html(2025年4月閲覧)

 

●がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)

●関節リウマチ

●筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)

●後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)

●骨折を伴う骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

●初老期における認知症

●進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】

●脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう)

●脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)

●早老症

●多系統萎縮症

●糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

●脳血管疾患

●閉塞性動脈硬化症

●慢性閉塞性肺疾患

●両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

人によってはこんなに?と思うかもしれませんが、これらの病気はそれだけ生活への支障が大きく、介護サポートがなければ自立した生活を送ることがままならないという表れでもあります。

 

若年性アルツハイマー症やALS(筋萎縮性側索硬化症)、脳卒中で半身麻痺など、ドキュメンタリーで症例として取り上げられている病気も多いので、気になる人はご自身で探してみてください。

 

実際見てみると、こういう病気になった人たちが自宅でひとり暮らしすることの困難さ、大変さは筆舌に尽くしがたいです。使いきれないほどの資産がある人は別でしょうが、これらの病気の診断を受けた人のほとんどが、介護保険制度などの社会資源を使って暮らしています。

 

 

高島 亜沙美

看護師/保健師