(※写真はイメージです/PIXTA)
「要介護3」で急増する自己負担と加算の構造
佐々木さん夫妻のケースで起きたのは、介護保険制度における「介護報酬の加算」による負担増です。
介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)の費用は、主に「基本料金」と「介護保険自己負担分」、そして「施設独自の加算」で構成されます。厚生労働省の資料(令和6年度介護報酬改定の概要)等によると、施設側は手厚い人員配置や専門的なケアを提供することで、国から認められた「加算」を算定できます。
具体的には、以下のような項目が利用者の負担を押し上げます。
●夜間看護体制加算: 夜間に看護師を配置したり、連絡体制を整えたりしている場合に発生。
●個別機能訓練加算: 個別のリハビリテーション計画に基づき指導を行う場合に発生。
●協力医療機関連携加算: 地域の医療機関と24時間の連携体制をとっている場合に発生。
特に、佐々木さんの事例で見落とせないのが「上乗せ介護費用」です。これは、介護保険法で定められた「入居者3に対しスタッフ1」という基準を超え、「2:1」や「1.5:1」といった手厚い体制を敷いている施設において、保険適用外の全額自己負担として請求されるものです。
生命保険文化センター『生命保険に関する全国実態調査(2人以上世帯)』によると、月々の介護費用の平均は9.0万円ですが、これはあくまで平均値です。
施設入居型の場合、要介護度が「3」を超えると、こうした加算や医療費、消耗品費(おむつ代等)が重なり、佐々木さんのように月額が数10%単位で跳ね上がる構造になっています。
入居前に「現在の健康状態」に基づいた試算しかしていない場合、将来の介護負担増によって、数千万円の資産があっても「老後破綻」の影が忍び寄るのが、現在の高齢者施設の現実です。