現役時代、互いにキャリアを磨き、家計と育児を分担しながら年金保険料を納め続けてきた共働き夫婦。老後はその分、手厚い年金が約束されていると考えるのが一般的です。しかし、日本の年金制度には「家族手当」的な性質を持つ仕組みが存在しますが、共働き夫婦は対象外となるケースがあります。年金制度における、共働きゆえの落とし穴についてみていきましょう。
「これじゃ働き損だ!」68歳男性の衝撃…年金月30万円でも「3年で120万円の加給年金」が消える理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

制度の谷間に落ちる「20年以上の共働き組」

日本の年金制度は依然として「夫が働き、妻は専業主婦」という家族形態を標準として設計されています。

 

加給年金や振替加算は、もともと「世帯主の年金だけでは配偶者の老後が不安定になる」という考えから、その補填として作られた仕組みです。しかし、総務省「労働力調査(詳細集計)」によれば、共働き世帯数は1,200万世帯を超え、今や専業主婦世帯の2倍以上に達しています。

 

ここで重要になるのが、支給停止の基準である「厚生年金加入期間20年」というラインです。

 

配偶者が老齢厚生年金(加入期間が20年以上あるもの、または中高齢の特例に該当するもの)の受給権を有しているときは、その間、加給年金額は支給停止となります。注意すべきは、実際に年金をもらっているかどうかではなく、「受給権(もらえる権利)があるかどうか」で判定される点です。

 

20年以上の加入期間があれば、原則として老齢厚生年金の受給権が発生し、その時点で夫の加給年金は支給停止となります。たとえ受給を繰り下げて実際に年金を受け取っていなくても、この扱いは変わりません。

 

この規定により、女性が定年まで働き続けることが定着した現代において、「夫婦共に20年以上のキャリアを持つ世帯」は、制度上「自立した個別の受給者」と見なされます。その結果、専業主婦世帯などが享受できる「世帯単位の加算」から、実質的に除外される構造になっています。

 

もっとも、これは「専業主婦世帯を優遇する」というよりも、「扶養配偶者の年金水準を補完する」という制度設計に基づくものでもあります。

 

「長く、正社員として働くこと」が社会的に推奨される一方で、制度の細部には、いまだに「一方の収入に頼る世帯」を前提とした仕組みが残っています。共働き世帯は、自分たちの将来の受給額を計算する際、こうした加算制度の恩恵が受けられない可能性をあらかじめ考慮し、より現実的な資金計画を立てておく必要があるでしょう。