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普通に働いてきただけなのに…窓口で突きつけられたのは、想定外の回答
東京都内のマンションで暮らす、佐藤健一さん(68歳・仮名)。3歳下の妻・美智代さん(65歳・仮名)とは、かつて同じメーカーに勤務していた元同僚です。二人は共にフルタイムで40年以上勤め上げ、数年前に退職しました。
「現役時代は給料から引かれる厚生年金保険料の高さに驚くこともありましたが、会社員なら当たり前のことだと思っていました。特に意識せず、定年まで勤めれば相応の年金がもらえるものだと考えていたんです」
健一さんが「加給年金」という言葉を意識したのは、定年が近づいたころに読んだマネー特集のムック本でした。「年下の妻がいれば、夫の年金に年間約40万円が上乗せされる」という内容を目にし、自分たちも対象になると思い込んだといいます。妻が65歳になるまでの3年間で約120万円。その資金を旅行やリフォームに充てる計画を夫婦で立てていました。しかし、65歳になった健一さんが年金事務所を訪れると、窓口の担当者から予想外の通告を受けました。
「担当者から、『奥様は20年以上フルタイムで働かれていますね。その場合、健一さんへの加給年金は1円も出ません』と言われたんです。最初は何かの間違いかと思いました」
加給年金は、厚生年金に20年以上加入した人に、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合に加算される仕組みです。しかし、そこには共働き世帯特有の「支給停止」のルールがありました。
「妻も40年働いていたので、60代前半から『特別支給の老齢厚生年金』をもらう権利がありました。たとえ将来のために受給を遅らせる『繰下げ』を選択して、今現在1円も受け取っていなくても、20年以上の加入に基づく受給権があるだけで、夫側の加給年金は全額止まるという決まりだそうです」
つまり、妻が専業主婦であれば世帯に入ったはずの「3年分・約120万円」が、妻が正社員として働き続けてきた佐藤家では、最初から受け取れない仕組みになっていたのです。さらに、美智代さんが65歳になった後の「振替加算」も、彼女自身の厚生年金加入期間が長いために支給されません。
「夫婦合わせて月30万円ほどの年金になりますが、こうした世帯向けの加算はことごとく対象外です。専業主婦世帯が優遇されること自体を否定はしませんが、共働きで相応の負担をしてきた世帯が、いざその時になって『権利があるから支給停止』と言われるのは、やはり釈然としませんね」