老親が住み慣れた自宅で暮らし続けることは、本人にとっても家族にとっても一つの理想です。しかし、そこには加齢による身体的な変化という避けられない壁が立ちはだかります。特に、これまで自分ですべてをこなしてきたという自負が強い親ほど、周囲の助けを受け入れることが難しく、限界を超えて無理をしてしまう傾向にあります。
もう無理なんだ…年金月17万円・82歳父、55歳息子からの同居提案を「バカにするな!」と一喝も、今年の正月、ポロリと弱音を吐いたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の身体能力低下と住環境維持の課題

内閣府『令和6年版高齢社会白書』等によれば、65歳以上の者がいる世帯のうち「単独世帯(一人暮らし)」は増加の一途をたどり、2020年時点で全世帯の約13%にあたる約672万世帯が一人暮らしです。

 

そこで不安になるのが、自身の健康。 内閣府『国民生活に関する世論調査(令和6年8月調査)』によると、「日常生活で悩みや不安を感じている」と回答した人が約77.9%。 そのなかで「老後の生活設計」が最も多く挙げられ、次いで「自分の健康」がおよそ49.7%と続きます。

 

この調査は高齢者に限定したものではありませんが、「老後・健康不安」は高齢者層に強くあてはまるものだといえます。 そのようななかで、実際に肉体の衰えを実感すれば、正雄さんが弱音をこぼすのも当然といえるでしょう。

 

また積雪地域においては、家屋の維持管理は安全面に直結する深刻な問題です。 消防庁の『消防白書』では、毎年の雪害に関する統計と課題がまとめられ、令和6年版では雪害による死亡要因の大半が「屋根雪下ろし等の除雪作業中の事故」であると報告されています。

 

さらに国土交通省『豪雪地帯対策基本計画』などでは、高齢者世帯等の屋根雪下ろし等の困難に対応するため、地域ボランティア等による援助体制の整備を進めることが政策目的として挙げられています。

 

ただ、離れて暮らす子世代としては、無理に同居を迫るのではなく、現在の住まいで生活の質を落さずに暮らしていけるかも考えたいもの。 たとえばシルバー人材センターや専門業者の活用といった「外部サービスの利用」を検討することも選択肢のひとつです。 いずれにせよ、親子双方が納得の答えを出すことが重要です。