「自分たちに本当に必要な額」を知る

もっとも、試算した金額は「65歳時点で必ず現金で用意すべき金額」という意味ではありません。

まずは、今後想定される支出と、預貯金や退職金の見込み額を整理して、「自分たちに本当に必要な額」を把握しましょう。そのうえで、50代からは「貯める・増やす・減らす・働く」を同時並行で進めていくことが重要です。

「貯める」

なんとなく貯めるのではなく、医療・介護費や住宅修繕費など、目的別に貯蓄しておくことで、漠然とした不安の解消につながります。

「増やす」

50代の投資は一発逆転を狙うものではありません。新NISAのつみたて枠などを活用し、インデックス投資を中心に、生活を圧迫しない範囲でコツコツ積み立てていきましょう。「すべてを投資」は危険ですが、「なにもしないこと」もまたリスクです。

「減らす」

保険の見直しや格安SIMへの切り替えなどで、たとえば月2万円削減できれば、老後までの15年間で360万円の差になります。固定費の見直しはもっとも確実な対策です。

「働く」

これからの老後設計は「65歳での完全リタイア」が前提ではありません。たとえば65歳~70歳まで月5万円の収入を得られれば、5年間で300万円になります。また、働くことは収入面だけでなく、社会とつながることで生きがいを感じるなど、心理的にもいい影響があるためおすすめです。

老後不安の正体は、お金そのものよりも「見通しが立たないこと」にあります。数字を知り、選択肢を整理して設計することが、年金に怯えない老後への第一歩となるでしょう。

石川 亜希子
CFP