あれ、下ろせない…父の「口座凍結」に頭を抱える38歳息子

「あれ、下ろせない」

ケンイチさん(仮名・38歳)は、ATMの前で立ちすくみました。

1週間前に亡くなった父親(享年70歳)の入院費を精算しようと、銀行のATMで父のキャッシュカードを入れたところ、取引できなかったのです。

母親に確認の電話を入れたところ、「ええ、こういうことは早めに対応しておかなきゃと思って。昨日銀行に連絡したわ」とのこと。

ケンイチさんは早くに実家を出て両親と別居していましたが、3ヵ月前に父が入院したとき、「今後お金の管理はお前に任せる」と、父から直接キャッシュカードを預かっていたのです。

金融機関に口座名義人の死亡を伝えてしまうと、その時点で銀行口座は凍結されます。

「しまった。銀行にはまだ連絡するなって言っておくべきだった……」

後悔するケンイチさんですが、どうしようもありません。ケンイチさんには入院費の清算のほか、葬儀費用の支払いや納骨に係る諸費用、税金関係の納付など、まとまった出費が控えています。

不安になったケンイチさんは、とりあえず銀行に相談してみることにしました。

口座が凍結されたらどうなる?

銀行口座は、金融機関が口座名義人の死亡を確認した時点で凍結されます。裏を返せば、家族などが死亡の事実を銀行に知らせない限り、名義人に代わって預金を引き出すこと自体は可能です。

人が亡くなると、医療費の精算や葬儀費用の支払い、未払いの税金など、まとまった資金が必要になる場面が続きます。相続人が自身の口座から立て替えてあとから精算することもできますが、できるだけ故人の預金から支払いたいと考えるのが本音でしょう。

しかし、口座が凍結されるといっさいの取引ができなくなります。現金の引き出しはもちろん、公共料金やクレジットカードの引き落としなど、口座からの自動支払いもすべて停止します。