タンス預金8,000万円がもたらした「修羅場」

Aさん(58歳)とBさん(54歳)は、離れて暮らす姉妹です。この度、一人暮らしをしていた母が亡くなり、実家に集まりました。

通夜に葬儀、初七日法要、それに諸々の手続きも済ませ、昔話に花を咲かせながら実家を整理していたところ、仏壇下の引き出しのなかに、見慣れない通帳が……。

開いてみると、なんと約8,000万円もの残高が残っていたのです。

若い頃から質素倹約を美徳としていた気高い母は、父の遺産に手をつけず、最後まで慎ましく生きたんだ……姉妹は母を偲びます。

しばらくして現実に戻った姉妹。姉のAさんは、すかさず妹にこう告げます。

「このお金、平等に折半でいいわよね?」

姉の一言に怒り心頭の妹

Bさん「姉さん、なに言ってるの……? ふざけないで。いいかげんにしてよ! 姉さんはお父さん(8年前に死去)のときも、お母さんが寝込んでも、ほとんど帰ってこなかったじゃない。それなのに、お金だけもらおうなんて……この人でなし!」

実は、Aさんは遠くに住んでいることを口実に、両親の世話を実家近くに住むBさんに押し付けていたのです。

父が亡くなった当時も、Aさんは遺産相続の話ばかり。Bさんが「私たちは生活できているんだから、お父さんの遺産はお母さんにすべて渡そうよ」と説得して、Aさんも「母さんが亡くなったらでも遅くないか」と、渋々了承したのでした。

そんな経緯もあったBさんは、姉の言動に激怒、そして、妹が反抗するとは思っていなかったAさんも逆ギレ。

長年のうっ憤が爆発した妹と、妹の予期せぬ反抗に焦る姉……絶縁寸前、泥沼の相続争いに発展するかと思われましたが、事態はまさかの結末を迎えます。