現役時代に輝かしい実績を残し、平均よりも高い水準の年金を受け取っている高齢者。しかし周囲からは悠々自適なリタイア生活を送っているように見えても、その実態は異なることも珍しくありません。ある70歳男性のケースをみていきましょう。
もう限界です…年金月20万円・70歳の元高校教師、家族に言えなかった通帳残高。「頼りになる父」を演じ続けるために、夜22時に向かった先 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金月20万円。余裕ある老後のはずが…

田中一郎さん(70歳・仮名)。元高校教師で、60歳定年まで教壇に立ち続けました。現在、受け取っている公的年金は基礎年金など含めて月20万円ほど。普通に暮らしていれば不安などない水準です。

 

しかし佐藤さんは、「生活に余裕? 必死ですよ」と苦笑い。すべての始まりは3年前だったといいます。

 

「SNSで知った投資案件がありました。正直、初めは怪しいと思いました。絶対儲かるとか、景気のいい話ばかりなので。しかしセミナーに参加して、すっかりその気になってしまった。『これなら、子どもや孫にたくさん残せる』と思って投資話にのった。しかし結果は、杜撰な運用体制が露呈して配当がストップ。元本の回収も絶望的になりました。詐欺だったのか、あるいは単なる破綻だったのか。今となっては確かめる術もありません。ただ、戻ってくると信じていた1,500万円は、戻ってこないことだけは確かです」

 

失った金額は、1,500万円にのぼるといいます。本来であれば、ここで家族に相談するもの。しかし、佐藤さんはそれができなかったといいます。

 

「妻には『運用は順調だ』と言い続けてきました。娘夫婦が家を建てるときも、援助はできないと言えばよかった。しかし、元教師が投資話にのって大損なんて笑いものですよ。『頼りになる父』というイメージも壊したくない。私が管理している預貯金から差し出してしまった。気づけば、通帳の残高は数万円。こんなこと情けなくて、言えるわけがありませんよ」

 

何とかリカバリーしようと始めたのが、コンビニエンスストアのアルバイト。夜22時から翌朝7時までのシフトで、時給はは始めた当初は1,480円。今では1,680円に上がったとか。

 

「妻には健康のために働くといっています。結構、体力を使うので、そこに嘘はありません。それに、何だかんだ言って若い人と一緒に働くことは刺激にもなります。ただ、『何やっているんだろう』と、虚しくなることがゼロではないことは確かです」