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金利上昇リスクと、狭小住宅の落とし穴
住宅ローンの変動金利が上昇すると、家計にどのような影響が出るのでしょうか。
変動金利には「5年ルール」や「125%ルール」があり、金利が上がってもすぐに返済額が大幅に増えるわけではありません。多くの家庭では、昇給や貯蓄の増加、繰上げ返済などである程度の変動に対応できるため、金利が少し上がっただけで返済不能になる家庭は多数派ではないでしょう。
しかし、それはあくまで平均的な所得層で、余裕を持って返済計画を立てた家庭の場合です。近年の住宅市場では、「自己資金ゼロ」「低所得層」「ペアローン」といった、“ギリギリの条件”で家を買う人が増えています。物件価格が高騰したここ数年、金融機関が40〜50年ローンを積極的に推奨していることも影響しているとみられます。こうした家庭では、わずかな金利上昇でも返済計画が崩れやすいのが現実です。
リョウタさんとハルナさんは、自己資金ゼロでフルローンを組みました。返済額は月10万円台。決して無理な額ではありませんが、余裕があるとは言い難いラインです。
金利上昇通知のあと返済額はすぐには上がらないものの、将来の負担増は避けられません。金利が上がり続け、5年後に見直しが入れば、返済額は月10万円台から13万円、14万円へと増える可能性もあります。そうなると、固定資産税や火災保険、メンテナンス費、子どもの教育費などが重なり、家計は一気に圧迫されます。自己資金ゼロのフルローンであるため、もし家を手放すことになれば、売却額よりローン残高が多い「オーバーローン」に陥るリスクもあります。
ギリギリの予算で手を出したマイホーム。金利上昇局面において、その選択が生活の根幹を揺るがすリスクになりつつあります。
さらに追い打ちをかけるのが、3階建て特有の暮らしにくさも年を重ねてからのリスクです。いまは若く健康ですが、年を重ねてからのことを考えると、生涯住み続けることは難しいかもしれません。1階の洗濯機から3階のベランダまで濡れた服を運ぶ重労働、階段の足腰への負担。もし将来、身体的な限界を感じて「住み替えたい」と思っても、そのときには「オーバーローンで売るに売れない」という八方塞がりの状態になっているかもしれません。
「金利」と「老い」、2つの長期的な視点が欠けていた代償は、あまりに大きいといわざるを得ません。「生涯住み続ける」という視点で考えると、家選びには長期的な視点が不可欠です。