子どもが18歳になり、無事に大学へ送り出した――。それだけで、親としての大仕事を終えたような気持ちになる方も多いでしょう。しかし、その安心感の裏で、子どもが思わぬトラブルに陥るリスクがあることをご存じでしょうか。今回は、18歳で「成人」となった子が直面した契約トラブルの罠と、教育費だけではない親が子どもに授けるべき財産について、CFPの伊藤寛子氏が解説します。
お母さん、助けてください…東京で暮らす18歳娘からの「まさかの電話」。貯金50万円・極限生活の中〈仕送り月5万円〉を工面する53歳母が崩れ落ちたワケ【CFPの助言】
53歳シングルマザー、娘のために1円を削る日々
地方の小さな商社に勤務する佐藤美智子さん(53歳・仮名)の年収は約500万円。夫と離婚後、女手一つで娘の結衣さん(18歳)を育て上げ、今年、都内の私立大学へ送り出しました。
しかし、美智子さんの心は晴れません。入学金と前期授業料、さらに一人暮らしの準備費用で、長年貯めてきた貯金は一気に底を突き、現在の残高はわずか50万円ほどです。
「これから毎月の仕送りと、4年間の学費。そして、自分の老後資金も貯めなきゃいけないのに……」
正直、家計は限界に近い状態で、美智子さんの生活はまさに「極限」でした。娘に月5万円の仕送りを捻出するために、美容院は1,000円カットですら半年に1回。昼食は毎日自作の弁当、外食はほとんどしません。スーパーでは特売品や値下げ品を探し、1円でも安い商品を選ぶ日々。
それでも、「娘の未来」と「自分の最低限の老後」を守るため、歯を食いしばって切り詰めてきました。そんなある夜、まさかの連絡が入ったのです。
追い打ちをかけた「娘からの1通のLINE」
「お母さん、ごめんなさい。ちょっと相談したいことがあって……」
スマートフォンに届いた娘からのLINEを見た瞬間、美智子さんの胸はざわつきました。そして、次に届いたメッセージを見て、頭が真っ白になります。
「エステで脱毛の契約をしちゃったの。美容器具も一緒にすすめられて、分割にしたんだけど、今月のお金が足りなくて。助けてほしい」
慌てて電話をかけて事情を聞くと、結衣さんはこう説明しました。
「街で声をかけられて、無料体験のつもりでエステに行ったの。でも、“今日契約しないと60万円のコースが30万円にならない”って言われて。それに“今が一番きれいになれる時期”って……。それと、“20万円の美顔器もセットじゃないと効果が出ない”って言われて、断りきれなくて全部で50万円のローンを組むことになったの。分割だし何とかなるかなと思ったんだけど、どうしよう。支払えない」
無料カウンセリングに行き、「今なら学割」「今日決めればこの価格」そう言われ、18歳になったばかりの娘が、数十万円単位の契約に流れでサインをしてしまったそうです。
「こっちは1円を削るように節約しているのに……奨学金も借りているのに……」
怒りと落胆、そして将来への不安が、一気に押し寄せました。