日本の公的年金制度は、老後の生活を支える重要な基盤ですが、自営業者などが受給する「老齢基礎年金」のみに頼る世帯では、昨今の物価高騰や光熱費の上昇が死活問題となっています。特に寒さの厳しい冬場は、暖房費を捻出できず、健康を損なうリスクを抱えながら生活する高齢者も少なくありません。ある男性のケースをみていきます。
「これで少しは、暖かく過ごせます…」年金月6万円、66歳。冬の寒さに震える困窮のなか、年金機構から届いた「緑色の封筒」に涙したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

低所得の年金受給者を支える「年金生活者支援給付金制度」とは

佐藤さんのもとに届いた「年金生活者支援給付金」は、消費税率の引き上げに伴い、公的年金等の収入や所得が一定基準以下の年金受給者の生活を支援するために、2019年10月から開始された制度です。 厚生労働省の資料によれば、この給付金には「老齢(基礎)年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類があります。佐藤さんが受給しているのは、老齢基礎年金の受給者を対象としたものです。

 

受給するためには、以下の要件をすべて満たしている必要があります(老齢基礎年金の場合)。

 

・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。

・同一世帯の全員が市町村民税非課税である。

・前年の公的年金等の収入金額*1とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれた方は909,000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は906,700円以下*2

*1:障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない

*2:昭和31年4月2日以後に生まれで809,000円を超え909,000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれで806,700円を超え906,700円以下であれば、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

 

給付額は、保険料納付済期間や保険料免除期間に応じて算出されます。厚生労働省によると、保険料を40年間(480ヵ月)すべて納付した場合の年金生活者支援給付金の基準額は、月額5,450円です。 注意すべきは、この給付金は一度手続きをすれば原則として翌年以降の申請は不要ですが、新たに受給権が発生した人や、これまで対象外だったが所得減により対象となった方などは、自分自身で「請求書(はがき型)」を提出しなければならないことです。

 

対象となる可能性がある人に対し、例年9月頃から順次、請求書類を送付していると案内されています。佐藤さんのように、届いた書類が何かわからず放置してしまうケースも少なくありませんが、この「緑色の封筒」や「はがき」は、生活を支える大切な通知です。 物価高の影響を最も強く受けるのは、固定された低額の年金で暮らす層。国によるこうした支援策を正しく理解し、漏れなく活用することが、厳しい日々を乗り切るための第一歩となります。