年末年始の帰省シーズンが到来しました。久しぶりの再会を楽しみにする声がある一方で、義実家という慣れない環境での滞在に、人知れず重圧を感じている方もいるのではないでしょうか。育ってきた環境が違えば、そこにある「常識」も異なるもの。特に伝統的な行事が絡む場面では、普段は円満な夫婦の間にも、価値観の決定的なズレが生じることがあります。ある夫婦のケースをみていきます。
おせちは全部手作りよ、それがここの風習だから…月収35万円・32歳妻、義実家への初帰省で洗礼。結婚を後悔した大みそかの夜 (※写真はイメージです/PIXTA)

「共働きでも家事は妻」の現実。データに見る夫婦の意識差

帰省先での過度な家事負担に疑問を抱くケースは少なくありません。特に、地方の旧家や伝統を重んじる家庭では、現代の都市部における家事シェアの感覚が通用しないことがあります。

 

こうした背景には、依然として根強い「家事・育児は女性の役割」という実態があります。総務省統計局『令和3年社会生活基本調査』によると、6歳未満の子どもがいる共働き世帯における1日の家事関連時間(週全体平均)は、夫が約1時間54分であるのに対し、妻は約7時間26分と、実に4倍近い差が開いています。

 

特に「食事の管理」や「炊事」においては、妻への負担が圧倒的に大きいのが現状です。普段から家事負担が妻に偏っている家庭ほど、帰省時のような「ハレの日」の行事においても、そのしわ寄せが女性に行きがちです。

 

伝統的な風習を守ることも大切ですが、夫婦ともに働いているのが当たり前の現代。実家の慣習を妻に一方的に強いるのではなく、時代に合わせた柔軟な帰省のスタイルや、親戚への対応を夫婦で話し合う必要があると言えるでしょう。

 

[参考資料]

総務省統計局『令和3年社会生活基本調査』