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データで見る「共働き世帯」の逆転現象と、制度の壁
事例の佐藤さん夫婦のように、妻の収入が夫を上回る、あるいは対等に稼ぐ夫婦は珍しくなくなっていますが、親世代との認識ギャップはなぜ埋まらないのでしょうか。
内閣府『男女共同参画白書(令和6年版)』によると、共働き世帯数は昭和55(1980)年以降増加傾向にあり、平成9(1997)年以降は共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回っています。2023年時点では、共働き世帯が1,278万世帯であるのに対し、専業主婦世帯は517万世帯と、ダブルスコア以上の差がついています。
義父の義雄さんが現役世代だった1980年代は、専業主婦世帯が約1,100万世帯で多数派でした。「男は仕事、女は家庭」というモデルが社会のスタンダードであり、税制や社会保障制度もこのモデルを前提に設計・運用されてきました。
また男女平等の世の中とはいえ、給与差は明確です。厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』によると、男性正社員の平均給与は月収で37.6万円、年収で619.5万円。一方で女性は月収で29.4万円、年収で459.0万円。結婚、出産、あるいは親の介護など、ライフステージにおけるさまざまな面で役割を負うことが多い女性は、給与面でも男性を下回ることが多いでしょう。
このようなことから、親世代の間では、「男性のほうが女性よりも給与は高いのが当たり前」と考える人が多く、義雄さんのように「妻が夫よりも稼ぎがいいなんて」と受け入れがたいケースもあるでしょう。
世代間の価値観の違いは、なかなか埋まるものではありません。ときに、単なる感情論としてぶつかることもあるでしょう。ただ、お互いの時代の価値観を理解せずとも知ることができれば、無用な衝突を避けられるかもしれません。
[参考資料]
内閣府『男女共同参画白書(令和6年版)』 厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』