「お金持ち=妬ましい存在」は江戸時代から変わらない
江戸後期の盗賊「鼠小僧」をご存じでしょうか。1823年から1832年にかけて、武家屋敷ばかりを狙って盗みを繰り返していた盗賊です。最期は捕らえられて斬首、晒し首になっています。しかし、この鼠小僧、貧乏人からは奪わず、金持ちの武家の財産のみを奪ったということで、「義賊」として歌舞伎などの芝居や講談の題材となり、民衆から人気を集めました。
この日本人のマインド、すなわち「お金持ちは憎らしい、妬ましい存在」とする考え方は、現代になっても変わっていません。そのため、「お金持ちになりたい、お金を増やそう」と考えて実際に増やしたシン富裕層のような人たちは、日本では評価されにくいのです。
シン富裕層が、成功すればするほど孤独になったり、SNS上で炎上して批判されたりするのは、これが理由です。例外として、メジャーリーガーの大谷翔平選手など、お金持ちになろうとしてなったわけではなく、努力の結果たまたまお金持ちになった人、さらに言えば、その努力した過程をみんなが知っている人は、無条件で称賛されます。
その意味では、シン富裕層は実は、ごく普通の人々からも「手の届く富裕層」だということをぜひ知ってほしいと思うのです。AKB48が「会いに行けるアイドル」というコンセプトを打ち出し、「手が届きそう」な存在として人気を集めたように、シン富裕層も妬みの対象ではなく、誰にでも手が届く目標になっていいと思うのです。
ごく普通の大人が、今から大谷翔平を目指すのは無理ですし、東大に入ろうとしたり、歌手になろうとしても厳しいものがあります。
しかしシン富裕層は、努力し過ぎなくても、学歴が大したことなくても、なれる可能性があるのです。
ノウハウの販売は大きなビジネスチャンス
たとえば私は前著『日本のシン富裕層』(朝日新書)で、これからシン富裕層を目指したい人にはノウハウをまとめてインターネット上で販売する「情報ビジネス」がおすすめだと書きました。たった一人でも稼ぐことができるマイクロビジネスで、さまざまなコストも低いため、誰もがすぐに取り組めるからです。
しかし、ある読者から、「情報商材なんか、もう今さら始めたって遅い」という感想をもらいました。これは大きな間違いです。
「ノウハウが売れそうな新しい情報」なんて、今もいくらでもあります。たとえば、今話題の生成型AI「チャットGPT」などは、「大勢の人たちが詳しく知りたいと思っているけれど、まだよくわからないもの」という存在の筆頭です。専門家もAIのすべてを理解しているのかというと、まだ怪しいようです。
それにGoogleの「Gemini」や「Claude」「Perplexity」「Genspark」、AIを活用した動画サービスの「HeyGen」や、最近話題の「DeepSeek」などさまざまな生成型AIがリリースされています。どのサービスがどのように使えるのか?そしてこの瞬間にも新しいバージョンやサービスが世界中で生まれています。そんな新技術が出てきたときにすぐ、何十時間、何百時間もかけてその新技術を実際に使ってみて、「傾向と対策」をノウハウにまとめて販売する人がいたら、情報コンテンツとして大きなビジネスチャンスになるはずです。
こうした新技術などの情報への敏感さ、すぐに飛びつく行動力、トライアンドエラーをしながらノウハウにまとめていく粘り強さがあれば、情報コンテンツの販売ビジネスはできるのです。また、その新技術に関するコンサルタントと名乗り、仕事を獲得することもできるはずです。
チャットGPTに関して今から取り組むのは、さすがに少し出遅れ気味かもしれませんが、これからもこういう新技術はいくらでも出てくるはずです。そのときにチャンスが到来するのです。
しかしこう説明して理屈ではわかってもらえても、結局やらずに終わる人のほうが圧倒的に多いのが、現実です。戦国時代なら、失敗したら敵や上司に殺されてしまいましたが、今の時代、失敗しても殺されるわけではありません。しかも、お金をあまりかけずに起業する方法もたくさんあるのです。
「今さら」などと言わず、気になったら失敗を恐れずにトライしてみてほしいのです。それが、シン富裕層になるための第一歩です。