障害年金とは、病気やケガで仕事に支障を来たしている場合、条件を満たせば利用できる公的な年金制度です。ただ、申請には特定の情報や専門知識が必要になるため、場合によっては自分で申請するのではなく、専門家を頼ったほうがいいケースもあります。そこで本記事では、看護師FPの黒田ちはる氏の著書『【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話』(彩図社)より、障害年金申請のポイントと、自分で申請しないほうが良い具体的なケースを5つ紹介します。
後悔しています…〈障害年金〉自分で申請すると「審査が通りにくいケース」5選【看護師FPが解説】
障害年金申請の注意点
障害年金の申請は少し複雑なため、専門知識が必要になることもあります。場合によっては、専門家を頼ることも有効な選択肢のひとつです。最近では、障害年金に関する情報をインターネット検索や病院のパンフレットなどで手軽に得られるようになりました。これは非常に良いことです。
障害年金の申請準備はいつから?
申請にあたっては、患者さんご自身が記載する「病歴・就労状況等申立書」の準備も必要です。日本年金機構のホームページからダウンロードできますので、時間のある時に早めに取りかかることをおすすめします。[図表1]に書き方のポイントをまとめましたので、参考にしてみてください。
また、申請のタイミングは体調や他の制度との兼ね合いもあるため、非常に難しいです。人によって最適なタイミングは異なるため、がん患者さんに多い3つのタイミングをご紹介します。どのタイミングが良いかの判断が難しい場合は、がんに関する障害年金の申請に慣れている社会保険労務士に相談することをおすすめします。
1.「障害認定日による請求」…初診日から1年6ヵ月の認定日の時点で生活や仕事に支障をきたした
申請に必要な書類は、住所地を管轄する年金事務所で受け取ります(予約制)。地域によっては予約が1ヵ月待ちのため、認定日よりも少し早めに予約が取れると、スムーズに申請を進めることができます。
医師の診断書は認定日の後3ヵ月以内に作成されたものが有効です。体調に変動がある場合は、診断書の作成時期も慎重に検討していく必要があるので、社会保険労務士に相談されると良いでしょう。
なお、初診日に受診した病院が現在受診している病院とは異なる場合、初診日に受診した病院からも書類を準備してもらう必要があるため、時間がかかることがあります。傷病手当金を受給されている方は、障害年金を同時に満額受け取ることはできません(調整があり返金となります)。申請のタイミングを十分に検討することをおすすめします。
なお、認定日までさかのぼって、最大5年間分を申請することが可能です。
2.「事後重症による請求」…1年6ヵ月の認定日を過ぎて生活や仕事に支障をきたした方
障害認定日の時点では生活や仕事に支障がなかったものの、その後数ヵ月や数年後に支障が生じたケースを「事後重症」といいます。
この場合、障害年金は申請日の翌月から受給できますが、過去にさかのぼって支給されることはありません。したがって、申請を検討したら早めに書類を準備することが重要です。
「事後重症請求」は65歳の誕生日の前々日までに行う必要があります。医師の診断書は申請する(請求)日から3ヵ月以内に作成されたものが必要です。
3.局所的ながんの障害により、定められた日(認定日)が経過した方
認定日が来た時点で申請が可能です。認定日を過ぎている場合でも、認定日までさかのぼって最大5年間分を申請することが可能です。


