短大卒で寿退社し、夫の転勤に付き従いながら45年間、専業主婦として家庭を支えてきた恵子さん(67歳)。自分なりに家族のために尽くしてきたという自負がありました。しかし、43歳の娘からのひと言が胸に刺さります。「私はお母さんみたいに、男に頼りきりの人生は嫌だった」。昭和の価値観の中で“家庭を守る妻”を全うした母と、就職氷河期を経験し自立を重視する娘――価値観のズレはどこから生まれたのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの三原由紀氏が解説します。
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お母さんみたいな人生は絶対イヤだった…〈年金月7万円〉専業主婦歴45年・家族に尽くした67歳女性が「我が娘の言葉」に絶句した日【FPの助言】
寿退社が“花道”だった時代──専業主婦を全うした67歳女性の揺らぎ
「まさか娘からあんなことを言われるなんて……」
そう話すのは、東京都在住の恵子さん(67歳・仮名)。短大卒業後、20歳で大手食品メーカーに入社しましたが、22歳で寿退社。まさに“結婚したら退職”が花道とされた最後の世代です。
結婚相手は同期入社の夫(現在70歳)。夫は全国転勤の多い営業職で、結婚後は愛知→福岡→千葉→北海道と、3〜8年おきに転居を繰り返しました。
恵子さんは自然と専業主婦として家を守る役割を担いました。夫は典型的な「俺が稼いでやっている」タイプ。単身赴任も多く、家事・育児・地域活動・義家族の介護...そのほとんどを恵子さんが一手に担ってきました。
こうして45年間、家庭の中心として働き続け、現在受け取る年金は老齢基礎年金と結婚前の厚生年金加入の合計で月約7万円。一方、夫は厚生年金と企業年金で 月28万円 を受給しています。
“ふたりで暮らす分には贅沢をしなければ十分”という状況でした。
娘はひとり。1982年生まれの43歳で、現在は恵子さんの自宅から電車で20分ほどの場所に住んでいます。 その娘が、先日、孫を預けた後に迎えに来た際、夕食後の何気ない会話の中で、突然こう言い切りました。
「私ね、お母さんみたいに男に頼りきりの人生は絶対イヤだったの」
恵子さんは、片付けようと持っていた茶碗を落としそうになったほどの衝撃を受けました。