可愛いけれど…“孫と会う日”が憂鬱になってしまったワケ

「週末遊びに行っていい?」――そんな息子からの電話を心から喜ぶことができず、むしろ憂鬱に感じるようになってしまった。母親の安達陽子さん(68歳・仮名)は、通話を切ったあと、小さくため息をつきました。

「また何かお願いされるのかしら」

以前は孫の康介くん(8歳・仮名)と葵ちゃん(5歳・仮名)を連れて遊びに来る息子家族を迎えるのが純粋にうれしかったはずでした。しかしいまは、それだけでなく胸に“モヤっとした感情”がわいてきます。理由はわかっています。

「康介が中学受験用の塾に通うなら、早いほうがいいと思って……」
「夏期講習が思ったよりも高くて……」
「せっかく習わせるなら、ピアノを買おうと思って……」

息子夫婦が家にくるときには、“お金にまつわる相談”をされることがほとんど。それを耳にするたびに、「またか」と思ってしまう自分がいるのです。

孫は可愛いし、息子の家族を応援したい気持ちは当然あります。でも、最近「援助することが当たり前」のように続いていることに、本当は楽しみなはずの息子家族と会う日が、複雑な思いで迎える日へと変化していきました。

そもそも、陽子さんは孫の誕生祝いにはじまり、毎年の誕生日はもちろん、七五三、入園・入学祝いなど、節目節目でお祝いとして、お金を入れた封筒を渡してきました。

上の孫の康介くんの小学校入学時には、“祖父母からプレゼント”という会話の流れを作られ、デパートに見に行くことに。すると、息子夫婦と康介くん自身が希望したランドセルは、なんと8万円超え。陽子さんは予想以上の値段に驚きつつも、「孫のためなら」と思い切って支払いました。

「確かに高かったけれど、お祝いだし、ある程度納得はできる。でも、塾や習い事のことまで私たちが援助し続けなければならないのかしら。2人もいるから、この先のことを考えるとキリがないわ」

教育に熱心なのは、息子ではなく、その妻のほう。とても一生懸命で、その熱心さがときに家計を圧迫してしまうのも事実です。自分たちの収入で賄える範囲であればよいのですが、そうではないのが問題でした。