嫁「本当に助かりました!」―お礼の言葉が重荷に

当初は“たまに頼られる”程度だった支援が、いつの間にか息子家族が遊びに来るたびになにかしらの援助をするのが“当たり前”になっていました。

「このペースじゃ、思ったよりも早くお金が尽きてしまうかもしれない」

安達さんの息子家族への援助額は、気づけば年50万円を超えていました。退職金の残りと預貯金で3,000万円ほどあったはずの老後資金は、孫関連の費用だけで5年で300万円以上減っていたのです。

年金も夫婦で月25万円と平均的。息子夫婦は陽子さん夫婦の資産状況や年金額を知りませんが、生活に余裕があるように見えていたのかもしれません。

しかし、実際には勤労収入のない年金暮らし。使っただけ貯蓄が減っていき、増えることはありません。孫2人がこの先、中学・高校・大学と進学していくなかでこうした援助を続けていては、家計がもたないのは明らかでした。

こうした状況から、会うたびに言われる「いつもありがとうございます! 本当に助かっています!」という明るい言葉が、だんだん胸に重くのしかかるようになったのです。

夫からも、「毎回は出さなくてもいいんじゃないか?」とやんわり言われました。その通りだと思う反面、安達さんの胸には別に恐れることがありました。

――援助を断ったら、冷たい祖母と思われるのでは?
――息子夫婦との関係が悪くなるのでは?

孫は可愛いし、できることならサポートしたい。でも、自分たちの生活も守らなければならない……愛情と不安が複雑に絡み合うなか、「孫は可愛いのに、会うのが憂鬱」という矛盾した感情が生まれてしまったのです。