年金暮らしの主婦・安達さん(68歳・仮名)は最近、息子からの連絡に「またお金の相談かもしれない」と胸がざわつくようになりました。教育熱心な息子夫婦からの度重なる相談に“かわいい孫のため”と応えてきた結果、老後資金が大きく減ってしまったのです。生活の不安と孫のため「断れない」葛藤……。CFPの伊藤寛子氏が、資産と家族関係を守るための注意点について事例とともに解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「お義母さん、いつもありがとうございます!」嫁のお礼が重すぎる…。〈年金月25万円〉68歳主婦が頭を抱える“孫連れ・息子一家の来訪”【CFPの助言】
孫への支援を行う際の問題と対策
安達さんのようなケースは、珍しくありません。教育費の高騰、共働き世帯の負担増加、そして祖父母世代の資産の存在から、「祖父母の支援を前提とした教育費」となる家庭が少なくありません。とくに問題なのは、支援が“都度”、“行き当たりばったり”で発生することです。
・事前の計画がない
・どこまで援助するかの線引きもない
・終わりのタイミングも見えない
これでは、老後資金は当然削られていきます。息子世帯は助かるかもしれませんが、祖父母が老後破綻のリスクを背負ってしまえば、結局は家族全体の負担になります。老後資金は有限であり、“自分たちの生活を守ること”は、むしろ家族全員の未来のために必要なことです。
だからこそ、孫への支援は「ライフプランの一部」として考える必要があります。その上で注意すべき点は以下の3つです。
1. 支援の「上限」を決める
都度の相談に応じて支援するのではなく、「年間〇万円まで」などあらかじめ枠を決めておく。
2. 支援の「対象」を明確にする
「入園・入学など節目のみ」「お祝い事だけ」など、“なんでもかんでも”ではなく、支援をするタイミングや目的を明確にし、想定していたタイミングで支援を行う。
3. お金以外の支援も立派なサポート
休日に預かる、習い事の送迎を手伝う、勉強の面倒を見る、などの支援も、お金の支援以上にありがたいサポートです。