深刻化する若年層のメンタルヘルス問題…親世代への経済的影響も

石村さん夫婦のような状況は、決して珍しいケースではありません。

内閣府「令和5年版 男女共同参画白書」によると、厚生労働省「患者調査(令和2年)」の結果では、男性の気分障害(うつ病など)患者数は20代から50代にかけて右肩上がりに増加し、40〜50代で最も多いことが示されています。働き盛りの世代で心の不調を抱える人が年々増えており、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスなどが背景にあると考えられます。

さらに問題なのは、メンタル不調からの復職・再就職の難しさです。民間の調査でも、一度メンタルヘルスなど健康上の理由で休職や失業を経験した人が再び仕事に復帰するのは容易ではないことが指摘されています。離職してしまうと、体調の不安や空白期間が再就職をさらに難しくする傾向があるといいます。

こうした背景から、親元での生活を続ける30代〜40代が増えていると推察されます。総務省「家計調査(2023年)」によると、65歳以上夫婦のみ世帯の平均支出は月約26万円。成人した子どもが同居すれば、食費や光熱費だけでも月5〜8万円、医療費や交際費を含めれば月10万円以上の増加になることもあります。

「息子を支えたい」という思いは自然ですが、年金生活の親世代にとって、これは想定外の支出です。支援が長期化すれば、老後の生活設計は大きく崩れかねません。