(※写真はイメージです/PIXTA)
『団地のふたり』はもはやドラマではない?
ちょうどその頃にNHK BSで放送されたドラマ『団地のふたり』(脚本・吉田紀子)に私は見入っていました。団地育ちの幼なじみ、小泉今日子さん演じるノエチと小林聡美さん演じる奈津子が主人公で、あたたかくユーモラスな友情の物語。人生の浮き沈みを経て、昭和の団地に戻ってきた50代半ばのふたり。それぞれの「おひとりさま」の暮らしが、団地コミュニティでの人とのつながりを背景に穏やかに描かれています。ユーモラスであたたかい友情を描いた物語は、前向きでマイペースな生き方の魅力を教えてくれるものでした。
ドラマを見ながら、いくつになっても「根っこ」は変わらないのだと感じ、中学時代からの友だちとのやりとりを思い出しました。「いつかみんなで団地に移り住む」という未来が突然リアルに思えた瞬間です。
現実的に考えてみると、同世代の友人たちと近くに住む、という選択には多くのメリットがあります。互いの体調を気にかけ合ったり、日々の買い物を助け合ったり、時には愚痴を聞き合ったり。血縁関係にはない自然な距離感を保ちながら、必要なときには支え合える関係。これこそが、これからの時代の新しい家族のような「かたち」なのかもしれません。
ドラマのなかの50代独身という設定が、まさに現代を反映したものに思えます。いずれ「おひとりさま」になっていく予備軍も含め、おひとりさまの抱える課題は多くの私たちが直面するものだとあらためて感じました。孤独への不安、健康への心配、経済的な不安定さ。これらは決してひとりだけの問題ではなく、社会全体で考えていくべき課題でもあります。
ここからは、そのようなさまざまな課題とどう向き合うかを一緒に考え、将来への具体的な道筋を探っていきます。ひとりであることの強さを大切にしながらも、人とのつながりのなかで豊かに生きていく方法を、考察していきましょう。
50代、「終の棲家」について考えたことはありますか?
『団地のふたり』のような友人同士で支え合う暮らしも魅力的ですが、現実問題として、私たちは自分の住まいについて具体的に考えておく必要があります。50代のいまだからこそ、終の棲家について真剣に向き合う時期なのかもしれません。
そんなことを考えていたとき、以前に観た映画『老後の資金がありません!』(監督・前田哲、脚本・斉藤ひろし)を思い出しました。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。50代にとって、タイトルがあまりにも切実ですが(笑)、私はこれを見たとき「これは映画の世界の話ではない」と老後のことをリアルに考えさせるものでした。
天海祐希さん演じる節約志向の主婦が、舅の葬式、娘の結婚、夫のリストラと自身の派遣切り、姑との同居で豪遊っぷりに悩まされる、など次々にお金にまつわるトラブルに見舞われる様子を、ユーモアたっぷりに描いたコメディ映画。老後の資金計画が思うようにならなかった夫婦が終の棲家として選んだのがシェアハウスという結末には、そういう選択も今後選択肢のひとつになるのかもとハッとさせられました。
現実の住まい選びを考えてみると、賃貸住宅、持ち家、実家での同居に加え、新たな選択肢があるように思います。それぞれにメリットとデメリットがあり、人生のどの段階で何を優先するかによって最適解は変わってきます。